病気やケガをしていたら?野良猫との上手な付き合い方

野良猫 お迎え

皆さんのご近所では、野良猫を見かけることはありますか?日向ぼっこをしていたり、誰かがあげたご飯を食べていたり、自由気ままにのんびり生活しているように見えますよね。

とはいえ外の生活環境というのは厳しく過酷なものです。その証拠に家猫の平均寿命が15年近くあるのに対し、野良猫達は3~5年程度。この数字を見ただけでもいかに外の世界を生き抜くことが大変かわかります。

事実よく観察してみると鼻を垂らしている子や目ヤニで目がつぶれてしまっている子、大きなケガをしている子、健康上のトラブルを抱えている子も多くいます。こんな時、何かしてあげたい。そんな気持ちになる方は少なくないはず。

そこで今回は野良猫にしてあげられること、お付き合いの仕方についてピックアップしてみました。


どこまでなら許してくれる?

野良猫 付き合い方

外で生活している猫ちゃん達は、自分に意識を向けてくれる人間をよく覚えていて触らせてくれることもあります。それが彼らの生きる術でもあるからです。

でも抱っこをする、病院へ連れて行く、家の中で一緒に生活しようとする、この一線は超えさせてくれない子の方が多いかと思います。

子猫や、よほど衰弱状態であれば別ですが成猫の野良猫を【捕獲】するのはとても難しい事。まずはお顔を触らせてくれるか、体を触らせてくれるか、食事やおやつを食べてくれるか、その猫ちゃんがどこまでの接触を許容してくれているのか見極めてみましょう。

なお抱っこまでさせてくれるような懐っこい子は、一度人間の元で生活していた可能性もあります。迷子猫であることも視野に入れていきましょう!


捕獲をする前にできること

野良猫 病院へ連れていく

野良猫達が病気やケガをしている、繁殖を食い止めるために避妊や去勢手術を受けさせたい、そんなときに向かう場所が動物病院ですよね。ですが、どうやって動物病院まで連れて行くのかが大きな問題なのです。捕まえる事のハードルがあまりに高すぎて断念される方は少なくありません。

確かに手術は動物病院を訪れなければ難しいですが、治療は猫ちゃんが不在でも開始することができるかもしれません。抱っこはできないけれど、触ることはできる状態であれば十分です。患部や猫ちゃんの状態を写真や動画に収め、獣医師に確認してもらってください。この時点でお薬だけ処方してくれることがあります。

こういったご相談は珍しくありませんので、遠慮せず動物病院スタッフに相談してみてくださいね。



捕獲時に用意しておきたいもの

野良猫 ケージ クレート キャリー
▲正面と上から出入りができるペットケンネル・ファーストクラス  トップオープン

上記の策では対応できず、やはり病院へ連れて行くとなれば、捕獲に踏み切るしかありません。その前に最低限準備しておきたいものは、バスタオル、軍手、大きめの洗濯ネット、ケージ、おやつ、ごはん、またたび、などです。

ケージはプラスチック製で上からも前からも開けられるタイプがいい
でしょう。

野良猫 捕獲

野良猫達は様々なウイルスを持っている可能性がありますので、捕獲時は厚手の長そでを着用し、軍手を重ねてつけ自身の身を必ず守りましょう。

捕獲はできれば2人以上で行う事。手順は後ろから大判のバスタオルをそっとかけ、視覚を奪ったところで洗濯ネットへ。動きを制限した状態でケージの中へ入れる事が理想的です。ただ実際にトライしてみると、なかなか上手くいかないことも…。

静かに、かつ迅速に行わないとあっという間に逃げてしまい、一度失敗すると猫ちゃんの警戒心はぐっと上がってしまうので、出来るだけ一回目のチャレンジで成功させたいところです。

捕獲まで時間をかけられるようであれば、日頃からケージにブランケットを敷き、中にご飯やおやつを入れ猫ちゃんが自由に出入りできるようすることで、ケージへの警戒心を解いていく手段も有効です。

自治体や保護団体が捕獲機を貸し出してくれることもあります。なお動物病院では猫網、捕獲網、というものを常備していたりもします。虫取り網を頑丈にしたような形状で、院内でパニックを起こした猫ちゃんの捕獲に使用することがあります。至近距離まで近寄ることができないような子には使用できるかもしれません。必要に合わせ用意しておきましょう。


動物病院での対応は?

野良猫 病院の対応

なんとか捕獲に成功し動物病院に向かったあと、どのような処置を受けるのか気になりますよね。まず動物病院では野良猫であれば脱走、パニック、興奮を始め咬まれる、引っかかれるということは全て想定して対応します。

猫ちゃん達は最大1.5メートルから2メートルの高さまでジャンプすることができます。特に野良猫達が初めて動物病院にきた場合、あまりの恐怖心からケージを開けた瞬間、目にもとまらぬ速さで飛び出し、ジャンプして棚裏などに逃げてしまう事があります。これを飛ぶ、飛んだと表現することが多いのですが、この飛んでしまった時に活躍するのが前述した猫網です。

とはいえ、飛ばせないにこしたことはありません。咬まれても傷を負わずに済むよう皮手袋をつける、密室で処置を行う、洗濯ネットや猫袋という専用の袋に入ってもらう、など脱走の対策しながら診察や処置を進めていきます。

野良猫 捕獲方法

ただ残念ながら中には全く触ることができない子もいます。そのような時は来院の目的に合わせできるだけ保護主さんと猫ちゃんにとって最善の答えを相談しながら決めていきます。

またどうしても捕獲できずキャンセルのご連絡が入った場合、迷惑をかけてしまったと気にされる方がいらっしゃいますが、全くそんなことはありませんのでご安心ください。

保護猫ちゃんに限らず猫ちゃんの診察予約は「捕獲不可」を理由にキャンセルになることが多々あります。完全室内飼育の猫ちゃん達ですらそういったケースがあるのですから、野良猫ちゃんを捕獲できなかった…というのはごく自然な事です。遠慮せず事情をお話しくださいね。


自分の身を第一に考えましょう

野良猫 さくら耳 さくらカット

咬まれたり引っかかれた傷は想像以上に大掛かりな治療が必要となることがあります。実際に動物病院では傷がひどく、点滴や縫合、ドレーン設置を必要とするほど深刻な状態になるスタッフもいます。

もちろん猫ちゃんの体のことは大切です。私自身、ケガをした猫がそばにいたらいてもたってもいられなくなると思います。ですが、1番は保護する人間が無事であること

野良猫ちゃん達は外の生活が長くなるほど、どんなに暖かな寝床より、十分な食事と安全が保障された室内より、過酷で、それでいて自由な外の世界での暮らしを望みます。もちろん双方が安全な状態で動物病院へ行けるようであれば、それにこしたことはありません。それでも頑なに猫ちゃんが拒否をし、保護主さんの身が危険にさらされるようであれば、一定のラインで諦めるという選択肢も頭の片隅に置いていただければと思います。


とはいえ、万全の準備を整え挑んだもののあっさり捕獲できた!なんてお話もよく聞きます。猫ちゃんの性格や人間との距離感を見つつ無理のない範囲でチャレンジしてくださいね。





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