猫のかかりやすい病気vol.1~下部尿路疾患

猫ちゃんモデル Miyavi

猫ちゃんは、「下部尿路疾患」の発症頻度が高く愛猫家の皆さんにはとても身近な病気です。

元来、砂漠で生活していた猫たちは少量の水分でも足りるように、尿の濃度を凝縮して排泄するよう適応していきました。

ところがその体質こそが、現在では尿路疾患を発症させてしまう原因となっているのです。


下部尿路疾患とは

猫 尿路結石

「下部尿路疾患」とは別名FLUTDとも呼ばれ、尿結石や膀胱炎、膀胱腫瘍、尿路感染症など猫の膀胱から尿道間に起こる尿路疾患の全てを指します。

その中でも尿結石と膀胱炎は非常に発症頻度が高く1度症状が出ると繰り返しやすいのが特徴です。

下部尿路疾患は長期的な治療や食事の管理が必要となることも多く生涯お付き合いしていくケースも少なくありません。

下部尿路疾患の主な症状

猫 下部尿路疾患

下部尿路疾患を発症すると普段と違う症状がはっきり見られます。

・粗相してしまう
・何度もトイレに行くが少量しか出ていない
・トイレで長時間排尿姿勢を取るが出ていない(または少量)
・血尿が出る
・排尿時に痛みを感じて鳴く
・尿臭が強い
・尿の色が濃いオレンジ、または白濁しているなど普段と異なる色をしている
・落ち着かずウロウロしている

このような症状が見られたときは、速やかに動物病院に連れて行ってあげて下さい。

肉眼では通常の色に見えても、尿検査をすると血液反応が出ることもあります。尿がうまく排泄されないことで腎臓やその他の臓器に負担がかかり他の病気を併発してしまう可能性もあるのです。

オスの猫ちゃん、は尿道が長く細いためメスより発症率が高い病気となりますので、特に注意してあげて下さいね。

治療方法

猫 治療

猫の下部尿路疾患の治療方法は症状によって大きく変わります。

まずは、尿検査を行い尿内に結晶や細菌が出ていないか検査し、その上で抗生剤の内服や注射、膀胱内のPH値を整える食事療法などを始めていきます。

尿道が閉塞し排尿が全くできない状態の場合は、尿道カテーテルを設置し、強制的に排尿する状態にした上で、食事療法や抗生剤、場合によっては外科的な手術で治療を進めていきます。

また結晶、結石が確認できても尿道の閉塞がなく、食事で溶かせる石であれば外科的手術を避けることも可能です。

症状別の治療費

猫 治療費

下部尿路疾患の治療費は、初期の膀胱炎で1万5千円前後、外科的な処置が必要になった場合は、入院費や術後の管理費を含め15~20万前後が相場になります。

ただし、この他に食事療法が必要となると、別途1ヶ月で約5000円の療法食代がかかります。

猫ちゃんの下部尿路疾患は発症率も高く、回復後も定期的なチェックやケアが必要となる事も多いので、ある程度の追加の費用もかかると考えておきましょう。

自宅で行う治療や予防方法

猫ちゃんと自動トイレ

まずは使用しているトイレが猫ちゃんに適しているものか確認してみましょう。

猫ちゃんはストレスがたまりやすく、とても綺麗好きなので、汚れているトイレは勿論NGです。また体の大きさに対しスペースに余裕のあるトイレを選んであげることも重要です。

自宅内に2~3か所、常に清潔で大きめのトイレを設置してあげると理想的です。

また下部尿路疾患のポイントは何よりも水分をしっかりとってもらう事です。水飲み場は複数設置し、水を飲みたがらない猫ちゃんにはウェットフードで食事から水分を取ってもらうと安心です。

太りすぎも発症要因の一つとなりますので、もしぽっちゃりしてきたと感じたら、一緒に遊んで体を動かしたり、食事を見直したりしてみましょう。

発症後療法食が処方された場合には、原則その他のフード、おやつは禁止です。療法食にもウェットタイプやトリ―ツがありますのでうまく活用すると食事療法も進めやすくなります。

治療が長期に渡ってしまうと飼い主さんも大変ですので、ストレスがたまらないよう、活用できるものはどんどん活用し、上手にお付き合いしていきましょう。

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