猫の肥満細胞腫、見分け方と治す方法はある?

猫 肥満細胞腫

皆さんは肥満細胞腫という病気をご存知でしょうか?

ぽっちゃり気味の子にできる腫瘍?と感じてしまうネーミングですが肥満とは全く関係のない腫瘍疾患です。猫ちゃんに見られることも多く、できた部位や気が付いたタイミングによっては命にかかわることも。

そこで今回は猫ちゃんの肥満細胞腫について気になるポイントや治療方法についてまとめてみました!


肥満細胞腫とはどういう病気?

猫 早期発見

病名にもなっている肥満細胞というのは免疫に関わる細胞で、どんな子でも全身に存在しています。この肥満細胞が腫瘍化したものが「肥満細胞腫」と呼ばれ、悪性、良性どちらの可能性もあります。

皮膚上におできとしてできる【皮膚型】と、脾臓や腸管などの内臓にできる【内臓型】があり、一般的に内臓型の方が予後不良とされてますが、どちらも発見のタイミングや発症部位が重要になってきます。

腫瘍の中には、痒みや血が止まりにくくなる成分であるヒスタミンやヘパリンといった物質が含まれています。外部からの刺激によって腫瘍内のそれらの物質が放出されて、重度のアレルギー症状、いわゆるアナフィラキシーショックを起こしてしまうこともあるため、いじりまわすのはNG。怪しいできものを見つけたら、むやみに触らずに動物病院を受診しましょう。


早期発見がポイント

猫の脂肪細胞腫

皮膚型の肥満細胞腫は見た目も様々でただのニキビのように見えることもあります。本人が気にしない事も多く、油断して長い期間放置してしまうと良性であったものが悪性に変異してしまう事や、体の中に転移してしまう事もあります。また大きくなりすぎると切除が難しくなってしまうケースも。

最終的に良性か悪性かを判断するのは手術後に切除した腫瘍を病理検査に出し、その結果を見てからになります。

どのような治療を行うにしても若く体力があるうちが理想的で、撫でている時やブラッシング時によく触り、おできがないかチェックしてみてくださいね。

主な症状

猫の病気 肥満細胞腫

■皮膚型肥満細胞腫
皮膚型はできものができる以外、痒みや赤みが見られることがあります。顎や耳にできることが多いようですが、実際に動物病院で勤務していると全身の色々な場所で見られる印象です。

おできの色や、大きさは様々で肉眼上で腫瘍か皮膚病かを見分けることは困難を極めます。

■内臓型肥満細胞腫
内臓型は食欲や元気の低下を始め普段の体調に症状が出始めます。嘔吐や下痢、下血が見られることも。進行していくと胃潰瘍や腹水、胸水がたまり命に関わる重篤な症状が出てくるようになります。


治療の方法

肥満細胞腫 治療方法

■外科手術
皮膚型肥満細胞腫は手術で切り取ることで完治するケースも多くあり、複数できているときは全て切除します。年齢や持病によって麻酔のリスクが大きくなることもありますが、基本的に外科手術が第一選択の治療方法となります。

■抗がん治療
何らかの理由で手術ができない子や切除後に転移が確認された子は抗がん治療へと進みます。抗がん治療は1回きりではなく、数か月間単位でワンクールとされていて注射や点滴、放射線など様々な方法が取られます。猫ちゃんの状態に合わせて、抗がん剤の種類や治療間隔を獣医師が決定します。

■内服治療
肥満細胞腫には分子標的薬という種類のお薬が良い反応を示すことがあります。肥満細胞だけを攻撃してくれるお薬で、抗がん剤より副反応がないと言われています。また、ステロイドや抗ヒスタミン剤を併用して治療を進めていくことも。

■漢方
年齢や状態的に手術や抗がん剤が難しい子には漢方を使用する病院さんもあります。西洋薬とは少し違い、体の代謝や免疫を底上げしながらがん細胞を抑える作用があります。完治まではいかずとも、がん細胞の活性化を防ぐことで長期間落ち着いた状態を維持できることもあるようです。


治療方針は家族で相談を

猫の治療方針 家族で相談

治療の第一選択になる手術は、腫瘍細胞を取り切れるよう少し大きめに切除することもあります。場所によっては術後の生活に大きく影響することもあるのでご家族でよく相談してから決定なさってくださいね。

また抗がん治療を行っていく場合も金銭的、時間的負担が発生してきます。頻繁な通院は可能か、ワンクールどれほどの金額になるのか、事前に確認し話し合っておくことでスムーズに治療を進めていくことができます。

治療方針は症状だけでなく、猫ちゃんや飼い主さんの環境により大きく変わります。まずは獣医師にも相談に乗ってもらったうえで、家族の皆さんが猫ちゃんのために一生懸命考えて決めた治療方法が正解なのではないでしょうか。



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