皆さんは【犬歯切断】や【抜爪】という言葉を聞いたことがあるでしょうか?どちらも麻酔を使った手術に該当する処置で、少なからずリスクを伴う処置でもあります。
ではどういった子達が受けるものなのでしょうか?それは噛み癖がある子や引っかき癖がある子、人間と共存していくために処置が必要と判断された子たちです。とはいえその判断は当然人間が下すもの。処置を行うことに賛否両論があるのも事実です。
そこで今回は処置の内容や具体的にどのような子が適応になるのか詳しくご説明していきます。
犬歯切断ってどんな処置?
犬歯切断とはその名の通り、犬や猫の歯の中で一番大きく尖っている【犬歯】を他の歯と同じ高さまで切断し、先端の鋭利な部分を無くす処置です。
一昔前までは犬歯を根こそぎ抜いてしまうような処置も存在していましたが、倫理的な観点や顎の脆弱化が見られる事から最近ではほとんど行われなくなりました。
手術の目的は大きく分けて2つ。
歯が折れてしまったり欠けてしまった時の整復のため、そして人や動物を噛んでしまったときに相手が受けるダメージを減らすためです。
本来犬歯は獲物に噛みつき切り裂く役割がある歯です。先端を切除することでそのような働きは失われ、少なくとも相手の皮膚を貫通させるようなケガはさせずにすむようになります。
抜爪すると爪は生涯生えてこなくなる?
抜爪処置は爪を根元の骨から切除する処置で、一度行うと爪は生涯生えてこなくなります。処置の方法はいくつかありますが、最近は出血や痛みを比較的抑えられるレーザーを使って切除を行う病院が増えました。
もちろんどのような方法でも痛みは伴いますので麻酔は必須です。
基本的には爪が鋭利で攻撃性が高い猫が受けることが多い処置ですが、爪の根元に腫瘍ができてしまったり、何らかの病気やケガで抜爪が必要になった場合は犬にも行う事も。
犬歯切断や抜爪手術が適応になるケースとは
上記の手術は病気やケガでやむを得ず行う事もありますが、多くは人間との共存を目的として行います。
ただ噛み癖がある、引っかき癖があるだけではなく、その度合いが飼い主さんの生活に支障をきたすほど酷く、一緒に暮らしていくことが困難であると判断された場合に手術が検討されます。
手術を行う事への賛否両論
どちらの手術も、動物が本来生きていくために持って生まれた体の一部を、人間の都合で取ってしまいます。ゆえに賛否両論の声があるのも確かです。中にはこういった手術を禁じている国もあるほど。
ただ日本では、処置を行わず飼い主さんがペットとの共存を諦めてしまう状況であれば,,,と手術が行われています。獣医師によっても考え方はさまざまで、病院によっては一切受けていない所もあります。
他者からみれば「可哀想」と感じる処置かもしれませんが、手術を検討する飼い主さん達は愛するペットとの共存方法についてとても悩み苦しんでいることがほとんどです。一人で抱え込まず、どうか病院スタッフに相談していただきたいと思います。
術後の生活はどうなるの?
気になる術後の生活ですが、基本的に手術を受けても日常生活に大きな支障が出ることはあまりありません。
犬歯が尖っていなくても食事は今まで通り取ることができますし、爪がなくても走ったり動くことはできます。ただ抜爪手術は木やキャットタワーが登りにくくなることや歩行障害が出ることもありますので、事前にしっかりと獣医師から説明を受けましょう。
私自身犬歯切断を受けているワンちゃんや、抜爪を受けている猫ちゃんにお会いすることが多々あります。なぜ手術を受けたのかな?と思うほど穏やかな子もいれば、なるほど。と思うほど強烈な猫パンチが飛んでくる子もいます。
しかし、どの子も飼い主さんから大切に大切に育てられ、可愛がられながら幸せに暮らしています。
犬歯切断や抜爪は人間からすればメリットがある手術ですが、動物からすればメリットはありません。強いてあげるのであれば手術を受けることでその後も飼い主さんと暮らしていくことができるという事が大きなポイントになるのではないでしょうか?
手術を受けるか否か迷った時は、手術後のペットとの暮らし、先々まで見据えてご家族でよく相談し、じっくり検討してみてくださいね。
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