犬の避妊手術、しないとどうなる?メリットやデメリットとは

犬の避妊手術

女の子のワンちゃんをお迎えし、ワクチンなどで動物病院へかかると獣医師から【避妊手術】のお話をされることがあるかもしれませんね。体が小さな愛犬に麻酔をかけること、メスをいれること、抵抗や不安を感じる方も少なからずいらっしゃるかと思います。

そもそも、なぜ避妊手術はここまですすめられているのでしょうか?今回は避妊手術に関わるメリットやデメリット、しないことで負ってしまうリスクや気になる費用についてまとめてみました。


避妊手術とは

犬の避妊手術とは

避妊手術とは卵巣及び子宮を取り除き、生殖機能を消失させる手術のことです。手術を行う1番の意味は望まない妊娠を避け、将来の病気を予防するという所にあります。避妊手術を受けずにいるとシニア期に発症してしまう病気は緊急性が高く、命に関わる病気が多いのが現実です。

そのため避妊手術は、健康寿命を延ばすためにとても有効な手段と言えますね。

定期的にやってくる生理はワンちゃんのストレスになることも多く、強い性ホルモンが放たれることで周囲にいる男の子のワンちゃんが興奮状態になり、飛びかかってくるような事故が起きてしまう事や、それによって妊娠してしまう可能性も否定できません。

避妊手術は健康寿命を延ばすだけでなく、あらゆる危険からワンちゃんを守ることにも繋がっていきます。なお摘出部位は卵巣のみ、という病院もありますので手術を受ける際は事前に確認してみましょう。


手術のベストタイミングは?

犬の避妊手術 タイミング

子犬期であれば生後半年前後、体重が2キロを超えたあたりがベストなタイミングです。乳腺腫瘍の予防率は、初回の生理が来る前に手術行うと90%以上と1番高く、その後2回、3回とヒート(生理)を迎えるほど低下していきます。

2歳以降になるといつ行っても予防率は変わらないとされていますが、麻酔を使う手術になるのでできるだけ若く健康なうちに行う方が理想的。もし出産希望で避妊手術を受けていない、という場合は産後や妊娠のタイムリミットを迎えたあとに手術を検討してみましょう。

なお生理中、あるいはその直後は出血が止まりにくい状態になるため、数か月期間をあけてからの手術を勧める病院もあります。不思議なことに手術当日の朝に生理がきてしまうケースも少なくありません。正確なタイミングは、かかりつけの獣医師と相談してみてくださいね。


避妊手術のメリット

犬の避妊手術 メリット

避妊手術の最大のメリットはやはり病気の予防ができるという点です。特に【乳腺腫瘍】や【子宮蓄膿症】は未避妊のワンちゃんに多く見られる病気で、その発症確率はシニア期で25~50%以上もあると言われています。

実際に動物病院で勤務していると、未避妊でシニア期のワンちゃんが体調不良で来院されると、まず一番に子宮蓄膿症を疑うというくらいにポピュラーな病気です。

また乳腺腫瘍も良性であったとしても巨大化や腫瘍の爆発が起こりワンちゃんのQOL(生活や生命の質)を著しく低下させてしまう可能性があります。そういった病気を未然に防ぐことができる他、生理を気にせずドッグランや旅行などに連れだしてあげられるようになる事も大きなメリットと言えます。


避妊手術のデメリット

犬 避妊手術 デメリット

避妊手術を受けることで考えられるデメリットは麻酔のリスク、そして体質の変化、この2点です。残念ながら麻酔を使う処置に絶対大丈夫、は存在しません。どんなに若く健康なワンちゃんでも少なからずリスクが伴います。

もちろんそのリスクを最小限に抑えるため、術前に血液検査を行ったり点滴を流したりと万全の準備を整えますが、必ず獣医師から事前に説明を受け、不安な点は確認するようにしておきましょう。

また術後はホルモンバランスが変わることで性格や体質が変化することもあります。特に代謝が落ち太りやすくなるケースはとても多く、今までと同じ食事量なのに体重が増えてしまう…なんて頭を抱えてしまう飼い主さんも。避妊後専用フードに切り替えるなどして早めに対策をしておくと安心です。

手術時間や費用

犬 避妊手術

避妊手術自体は30分前後で終了します。麻酔の導入から覚醒までだと1時間前後。想像より短いと感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、短時間とはいえ麻酔をかけお腹にメスをいれる処置、術後はたくさん褒めてあげていただきたいなと思います。

入院は1泊する事が多く、どの病院でも術後は痛み止めの注射薬などで疼痛管理を行います。痛みが強く状態が安定しない場合は入院日数を伸ばし、安定するまで病院で様子を見ます。

費用は体の大きさによって変動しますが5~10万円前後が平均的です。

術後の過ごし方

避妊手術後の過ごし方

退院後、基本的にはいつも通りの生活でOKですが、抜糸までは激しい運動やシャンプーは避けましょう。術部は舐め壊してしまわないようエリザベスカラーや術衣で保護します。エリザベスカラーがストレスになってしまっているようであれば、飼い主さんが見ていられる間だけは外してあげても大丈夫です。


避妊手術をしない、という選択肢も

避妊手術 選択の自由

ここまで避妊手術のメリットやデメリットをご説明してきましたが、中にはできるだけ自然な形で生活をさせてあげたいと考える方もいらっしゃるかと思います。

生理がくることは自然なホルモンのサイクル、本人が辛くないようであれば無理に手術を受けさせる必要はないかもしれません。避妊手術をしない、という選択肢ももちろん間違いではありません。小さな体に麻酔をかけ、メスを入れるという事に抵抗があるのは家族として当然のお気持ちです。

生理中のお出かけマナーや将来の病気の可能性を知った上で、避妊手術をどうしていくか家族で相談してみてくださいね。



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