犬のフィラリア予防、病気の実態や飲み忘れ時の対応方法とは

フィラリア予防

ワンちゃんの春、といえば忘れてはいけなのが【フィラリア予防】ですよね。

毎月のお薬で予防を行うフィラリア症ですが、どういった病気なのかよくわからない…という方も多いのではないでしょうか?なぜ飲み始めが春なのか、飲み忘れてしまった時はどうしたらいいのか…

今回は、フィラリア予防の疑問やポイントについてご説明させていただきます。

フィラリア症とは

犬 フィラリア症とは

フィラリア症、正式には【犬糸状虫症】という名がついているこの感染症は、蚊を媒体として感染が広がる病気です。感染すると心臓にフィラリアの成虫が寄生し循環器、呼吸器に大きな負担がかかり、最悪、命に関わる重篤な状態まで進行することもあります。

■感染経路
既にフィラリアに感染している個体を蚊が吸血。この時フィラリアの子虫である【ミクロフィラリア】が蚊の体内に侵入します。

ミクロフィラリアを持った蚊が未感染の個体を吸血します。この時、蚊の唾液と一緒にミクロフィラリアが未感染個体の体内へ入り込んでしまうという、このサイクルが繰り返されていくことでフィラリア症の感染が拡大していくのです。


予防する方法は?

フィラリア症 薬

フィラリア症から愛犬を守るためのお薬、それが【予防薬】ですよね。このネーミングからワンちゃんが蚊に刺されなくなるお薬と誤認されがちですが、実際には体内に侵入したミクロフィラリアが成虫になる前に駆除する【駆虫薬】です。

ミクロフィラリアが体内に入ってから心臓に寄生する成虫になるまでには2か月ほどのタイムラグがあります。この期間に駆虫することでフィラリア症を予防できる、というもの。ゆえにフィラリア予防薬の投薬期間は、蚊が出始めて2か月後~蚊を見なくなって2か月後までが推奨されています。

都内では5~12月とご案内する病院さんが多いようです。

ただし、温暖化によって気温が変動し蚊の出始めや終息の時期も変わってきました。また同じ日本でも沖縄と北海道では蚊の季節も変わってきますよね。中には通年での投薬が推奨されている地域もあるんです。

正確な予防期間はお近くの動物病院で確認してみてくださいね。


投薬前の検査はなぜ必要?

犬 フィラリア症検査

多くの動物病院ではフィラリア予防薬の処方前に、前年の感染がないか検査を行っています。

フィラリア検査を行う意味は、万が一前年に飲み忘れや吐き戻しがあり体内にフィラリアの成虫がいた場合、予防薬を投薬することで一気に成虫が死滅し体がショック症状を起こす可能性があるためです。

通年でしっかり投薬をされていたワンちゃんや、お薬を使い切り飲み忘れがないと判断できたワンちゃんには検査をしないこともあります。これは各動物病院の方針によりますので、検査がなくても不安に思わなくて大丈夫です。


お薬の選び方

フィラリア 薬

私が動物病院の看護師になってから10年以上たちましたが、フィラリア予防薬はどんどん進化しているなと感じています。

近年ではフィラリア、ノミマダニ、お腹の虫下し、全てを1つで予防できるオールインワンタイプが人気です。とはいえ、こればかりはワンちゃんの好みや性格に合わせ選んでいただいた方が安心ですね。

現在流通しているフィラリア予防薬は以下になります。

■おやつタイプ
おやつが大好きなワンちゃんにおススメです。フィラリア予防効果の他、お腹の虫下し効果がついているものもあります。

■錠剤タイプ
食が強いワンちゃんにおススメ!ご飯に混ぜ込んで飲ませてしまうと楽ちんです。こちらも、お腹の虫下し効果がついているものがあります。

■液体タイプ(滴下タイプ)
警戒心が強くお口からの投薬が難しいワンちゃん向けです。フィラリア予防効果の他、ノミを予防できるものも。ただし、マダニの予防効果はついていないことが多いため要注意です。

■オールインワンタイプ
フィラリア・ノミ・マダニ・お腹の虫下し、全ての予防が一つで網羅できるタイプのお薬です。おやつタイプなのでなんでも食べるワンちゃんであれば問題なく使用できるでしょう。

投薬が1回で済むので飼い主さんの手間も少し減るのも嬉しいですね。

■コリー犬種は要チェック!
シェルティーやボーダーコリーなどのコリー犬種は使用できない、あるいは使用に注意が必要、とされている予防薬があります。こちらは処方してくれる獣医師と相談してみましょう。

飲み忘れてしまった時は

犬 薬の飲み忘れ

もし投薬を忘れてしまったときは、気が付いた時点で投薬してあげましょう。数日程度であれば問題ない事がほとんどです。

フィラリア検査で感染が確認できるのは成虫が心臓に寄生を始めてからになるため、もしミクロフィラリアが体内に侵入していても、すぐに検査で感染を確認することはできません。予防薬の投薬を続けつつ検査のタイミングを獣医師に確認しましょう。

迷った時は動物病院に相談を

フィラリア症 診察

投薬忘れ以外にも吐き戻しや体重変動、体調不良時、お薬を投薬していいか迷うタイミングはあるかと思います。そんな時はお電話で構いませんので動物病院に問い合わせてみましょう。

本当に投薬が必要なのか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、長く都内の動物病院で勤務している中でフィラリア症に感染してしまったワンちゃんを見かける機会はしばしばあります。

愛犬に感染が見つかった時は、速やかに治療を開始しましょう。カレンダーやスマホのスケジュールに登録して投薬忘れ対策をしておくと安心ですよ!


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