犬は安産?妊娠期間や出産にかかる時間や、自宅出産に向けての準備とは

犬の出産 生まれたての子犬

ワンちゃんは安産の象徴とも言われ、安産を願って【戌の日】にお参りをする、なんて風習もありますよね。私自身も妊娠中に足を運んだ記憶があります。

ですが動物病院に来院されるのは、出産時にトラブルが起きてしまったワンちゃんたち。人間と同じように、夜間に緊急帝王切開を行う事や人間が助産を行う事も多くあります。一方、家庭で生活するワンちゃん達が自宅で出産を迎えるというケースも少なくありません。

ではワンちゃんの妊娠期間や出産にかかる時間というのはどれくらいが平均的なのでしょうか。今回はワンちゃんの妊娠のこと、また自宅で出産する際の注意点についてまとめてみました。

ワンちゃん達が妊娠するタイミング

犬の出産までの日数と仕組み

女の子のワンちゃんは年1~2回、ヒートと言われる発情期を迎えます。発情が始まってしばらくすると体内で排卵が起こり、卵子が成熟してから約48時間が受精可能な時間とされています。年齢や体質によってしっかりタイミングをとっても妊娠しないこともありますが、動物病院で膣スメア検査を受けることで最も適したタイミングを見極める事もできます。

一方男の子のワンちゃんは、発情を迎えた女の子のホルモンや匂いで発情が誘発されます。


妊娠期間とよくみられる症状

犬の妊娠した時の症状とは

ワンちゃんの妊娠期間は約63日。2ヵ月ほどで出産に至ります。

最初の1~2週間は人間同様つわりのような症状が見られることがあり、食事の好みが変わったり嘔吐が見られることも。3~4週以降はお腹が少しづつ大きくなり乳腺も発達、母乳が出始める子もいるでしょう。

出産直前になると本能的にお産の場所を探すようになります。薄暗く、フカフカとした落ち着ける場所を作ってあげてくださいね。

妊娠期間中は体調がよくても必ず動物病院を受診し、『順調に進んでいるか』『お腹の中にいる赤ちゃんの頭数は何頭か』などを確認しておきましょう。

これは万が一お産が途中で止まってしまった場合、お腹の中にあと何頭の赤ちゃんが残っているのかをすぐに把握できるようにするためです。


妊娠頭数や妊娠中の診察

妊婦の犬のエコー 頭数チェック

妊娠時の赤ちゃんの頭数は母犬の体の大きさに左右されるといわれています。大型犬であれば5~7頭、小型犬であれば2~3頭ほどが平均的。しかし、これはあくまで平均値で、過去にミニチュアダックスで9頭出産するお産に立ち会ったこともあるくらいですので一概には言えません。

妊娠中はエコーとレントゲンによって頭数の確認や赤ちゃんの心拍を確認することができます。妊娠から20日でエコー、45~55日でレントゲンという風にまずはエコーで確認し、出産前にレントゲンで最終確認を取るという病院が多いかもしれません。

人間では妊娠中のレントゲンは基本的にNGとされていますが、ワンちゃんの場合は被ばく量はごくわずか。1回の撮影程度であれば赤ちゃんに影響はありませんので安心してくださいね。エコーだけでは正確な頭数が把握できない場合もあり、エコーとレントゲン両方の検査結果を踏まえ頭数の目途を立てます。


犬の出産時間

犬の出産時間は?生まれたての子犬に乳を与える母犬

出産時間は子犬1頭に対し30分~1時間ほど。まず体が分娩状態になる前に体温が1度下がります。そしてそのあと体温がまた上がり始めたら分娩まで間もなく、というところ。陰部から透明の液体が少量出たら分娩が始まることが多いようです。

赤ちゃんは羊膜という膜に覆われた状態で出てきますが、基本的には母犬が膜やへその緒を噛みちぎり子犬を舐めて呼吸を促すところまで行います。きちんとできているようであれば介入せず見守るのがベスト。

とはいえ自力では難しいワンちゃんもいますので、母犬が動かなかった場合に飼い主さんの方で助産ができるようしっかり予習し準備を整えておきましょう。子犬の数によって出産時間は異なりますが、1頭目が出てから2頭目まで時間がかかりすぎている時は、逆子などが原因でうまく出産が進んでいない可能性もあります。

時計をよく見て、異常を感じたときは動物病院に指示を仰いでくださいね。


自宅で出産を迎えるときは

自宅で出産 事前に準備して安全に

ご自宅で愛犬の出産を迎えるときは、事前の診察を受け頭数の確認をしておきましょう。また交配日を伝え、正確な予定日を出してもらってください。

予定日が近くなってきたら分娩場所の用意やワンちゃん用の体温計、万が一に備え助産に必要になるアイテムを用意しておきます。自宅で出産を迎える場合頼れるのは飼い主さんしかいません。予習と準備を入念に行いましょう。動物病院で購入できるものもありますので、診察時に相談しておくと安心です。

またワンちゃんの出産はいつ始まるかわかりません。夜間で緊急事態が起きてしまったときに問い合わせ可能な動物病院の電話番号、また受診可能な夜間診療を行う動物病院をいくつかピックアップし、目に見える場所に貼りだしておいてください。

予定日付近に家を留守にしなければならず心配...という場合には動物病院が預かってくれる事もあります。これは【助産監視】といって分娩の開始から終了までスタッフが見守り、必要であれば助産や帝王切開を行うというもの。24時間体制で診療を行う、規模が大きな動物病院であれば受け入れていることが多いので、気になる方は問い合わせてみてください。

自宅で犬の出産 感動 命の重み

ワンちゃんの出産に何度も立ち会ってきましたが、母犬が痛みと苦しみを乗り越え子犬の声を聞くあの感動は言葉では言い表せません。可愛い愛犬が痛みに立ち向かう姿に、胸が苦しくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、どうか力を合わせ可愛い子犬ちゃんを迎えてあげましょう。




関連ブログ

春の健康診断!メリットや受診すべき愛犬の目安は?
愛犬の気管虚脱、予防や治す方法はある?
犬のかかりやすい病気vol.1~外耳炎
犬のかかりやすい病気vol.2~下痢
犬のフィラリア症、感染率はどれくらい?もしも感染してしまった時は?
犬のフィラリア予防、病気の実態や飲み忘れ時の対応方法とは
犬の心臓の病気、僧帽弁閉鎖不全症とは?治療や予後について徹底解説します。
犬の避妊手術、しないとどうなる?メリットやデメリットとは





▼ この記事を書いたのは ▼




Back to blog