寒い季節を超えようやく訪れる春。暖かな空気に桜が舞いワンちゃんも飼い主さんも心躍る季節ですよね。
動物病院で働いている私たちも狂犬病やフィラリア予防で慌ただしくなる時期ではありますが、久しぶりにお会いできる飼い主さんやワンちゃんも多く、どこかウキウキしてしまう季節です。とはいえワンちゃん達からしてみれば1年に1回の大イベントですよね。
そのフィラリア予防の検査の際、健康診断を一緒に勧められることがあります。受けた方がいいのか、金額はいくらかかるのか、保険は使えるのか…今回は春の健康診断に関して飼い主さんが抱く疑問をまとめてみました。
春の健康診断とは
春になるとフィラリアの予防薬をもらいに動物病院を訪れる方が多いですよね。多くの動物病院では処方する際に、去年の感染がないかを確認するフィラリア血液検査というものを行います。この時にせっかく血液を採取するのだからフィラリアだけではなく全身の血液検査を一緒にやりませんか?とお勧めするのです。
これが俗にいう【春の健康診断】です。
会社や健康保険制度で健康診断を1年に1度受けているという方がいらっしゃるように、ワンちゃんも同様に1年に1回健康診断を受けることが理想とされています。タイミングはいつでもいいのですが、採血がワンちゃんのストレスになることもあるため、春のフィラリア検査時にまとめて受けることが負担も少なくオススメです。
病院によっては血液だけでなく便検査や尿検査、レントゲン、エコーなど人間の健康診断と同様のメニューを用意されていることもあります。
健康で若い子でも受けた方がいいの?
患者様からよくご質問をお受けするこの疑問。結論からお伝えすると個人的には受けた方がいいと考えています。
ワンちゃんの1歳は人間でいうと約20歳前後、2歳で25歳、3歳だと30歳前後です。人間で考えてみれば20歳前後で社会に出たら毎年健康診断を受けたりしますから、決して早すぎると言う事はないと思います。
ワンちゃん達は、昨日まで元気だったのに突然具合が悪くなる、なんてことがあります。つい先日受けた検査では何も問題がなかったのに、改めて受けてみたら異常値がたくさん出てきたというのは珍しいことではありません。健康診断は、その名の通り健康であることを確認するための検査です。元気な時の数値がどれくらいなのかを把握するために受けると考えましょう。
もちろん受ける事が必須なわけではありません。具合が悪くなったときに検査は受けるという考え方もOK。愛犬の性格や体調で飼い主さんが決めてあげてくださいね。なお、子犬期は避妊や去勢の手術を受ける方も多く、そこで血液検査は必ず行うはずなので春の健康診断は見送ってもいいかもしれませんね。
健康診断を受けるメリットとは
健康診断のメリットは、やはり病気の早期発見ができるという点。実際、毎年たくさん健康診断を行っていますが、半分から3分の1くらいのワンちゃん達に何かしらの異常が見つかるという印象です。
肝臓や腎臓、心臓など重篤化しなければ目に見える症状が出てこないような病気でも、血液検査であれば発見することができます。結果が出るまでドキドキしてしまうかもしれませんが...仮に病気が見つかったとしても、早く治療を開始できてラッキーだと考えましょう。
お値段はおいくら?
春の健康診断は、フィラリア検査を含めおおよそ1万5千円~2万円前後です。動物病院によっても異なりますが、一般血液検査に心臓や甲状腺、ホルモンなどの追加項目が入ると金額も大きくなります。
原則、健康診断はペット保険の対象にはなりませんが、もともと持病があり、定期チェックを兼ねた血液検査の場合や、具合が悪くむしろフィラリア検査がおまけで血液検査がメインの目的という場合は何割かが対象になる事もあります。
こちらはペット保険会社によりますので、直接問い合わせてみましょう。
検査を受けるか迷ったら
検査を受けるか迷ったら看護師や獣医師に相談してみてくださいね。春の予防の時期は混み合っているかもしれませんが、患者様のお悩みに向き合うのは動物病院スタッフの大切な仕事です。年齢で迷っているのか、検査の内容で迷っているのか気兼ねなく伝えてください。
1番はワンちゃんに負担がなく、飼い主さんが安心できること。
まだ春まで少し時間がありますので、今年の健康診断をどうするかじっくり検討してみましょう♪
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