愛犬の認知症、自宅でできるケアや治療の方法とは?

犬の認知症

ワンちゃん達の平均寿命は年々長くなり、最近では15歳を超えるご長寿さんも見かける機会が多くなってきました。これはワンちゃんを取り囲む、様々な環境の質があがってきている証拠でもあります。

愛犬は家族の一員、幼少期から一緒に育っていれば兄弟にように感じている方もいらっしゃいますよね。

ですがワンちゃん達は人間の何倍も早く年齢を重ねていきます。小型犬の15歳は人間でいうと76歳前後、大型犬は更に早いスピードで老いが進んでいきます。長寿化が進むにつれワンちゃん達の認知症、介護も避けては通れない課題となってきました。

そこで今回は、愛犬が認知症になってしまった時のケア方法や治療方法をご紹介していきます!


犬の認知症とは

犬の認知症とは

ワンちゃんであっても人間であっても認知症になるメカニズムは同様です。正常に機能していた脳の認知機能が加齢によって何らかのトラブルを起こし、うまく機能しなくなることで発症に至ります。

11歳ごろから見られはじめ、13歳を超えるとその数もグッと増えてきます。どの犬種でも発症する可能性はありますが特に柴犬や日本犬系MIX、プードルさんに多く見られるようです。

それまでの生活環境やしつけは関係ないとされていますが、脳を活性化することが予防につながるので、宝探しゲームなど頭を使う遊びがおすすめです!


認知症の症状

犬の認知症 症状

認知症の始まりは普段と少し違うかも...程度の違和感から始まります。

・粗相が増える
・慣れているはずのお散歩コースや自宅内の家具配置がわからなくなる
・呼ばれても無反応
・食事を何回も欲しがる
・生活リズムが乱れる

このような異変が起き始めたら認知症が始まったサインかもしれません。

これが更に進行すると自宅内をウロウロする【徘徊】、その場を回り続ける【旋回】、生活リズムが崩壊する【昼夜逆転】、深夜に鳴き続ける【夜鳴き】へと進んでいきます。


自宅でできるケア方法

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認知症は基本的に「治す」ことは難しい病気です。認知症発症後はできるかぎり愛犬に合わせて環境を整え、生活をサポートしてあげてくださいね。

■徘徊や旋回が出ている時は…
家具や壁にぶつかってケガをしてしまうことがあります。曲がり角にはカバーを付けておくと安心!赤ちゃん用のベビーガードが万能です。

認知機能が低下すると前進はできても後退ができなくなるという特徴があります。狭い場所に入り込むと自分で抜け出すことができなくなるため、自宅内に危険な場所はないか見直してみましょう。

壁に激突してしまう時は広めのサークルに入ってもらい、座布団を内側にくくりつけておくとケガや騒音の防止にもなります。換気のために開けていた窓やドアから出て行ってしまう子もいますから目を離す時はしっかり戸締りをなさってくださいね。

■寝たきりになった時は…
自分で体勢を変えられないワンちゃんは床ずれが心配です。寝床には介護マットを使用し数時間おきに体制を変える体位変換を行ってください。

お外が好きな子であれば外気を吸うだけでもリフレッシュになります。抱っこが難しいようであれば介護カートを使用して連れ出してあげると喜んでくれるかもしれませんね♪

■粗相をしてしまう時は…
認知症が始まったらおトイレは失敗するのが当たり前、位に考えておきましょう。

トイレの場所はわかっているけれど、はみだしてしまうという子にはワンサイズからツーサイズ大きいトイレを用意する、トイレの場所を増やしてあげるといった対策がおススメです。

家中どこでもしてしまうようであればオムツの使用をスタートしましょう!オムツかぶれにならないようこまめに替えてあげてくださいね。


病院でできる治療方法

犬の認知症 処方

病院でできる治療は安定剤や眠剤を処方する内科治療になります。お薬の程度はサプリメントなどの軽いものから、取り扱い注意とされるほど強いものまで様々です。

主に昼夜逆転、夜鳴きがひどい時に処方されるかと思います。
ワンちゃんの介護で疲弊される飼い主さんは多く、特に夜鳴きはご家族が眠れないだけでなく近隣との騒音トラブルとなる事もあるからです。

介護を続けていく上で飼い主さんの心の健康はとても大切なポイントとなってきます。辛いと感じたときは気軽に動物病院でご相談されてくださいね。場合よっては病院のホテルで数日お預かりすることも可能です。


認知症の愛犬と向き合う事

愛犬 認知症

認知症を発症後、愛犬がまるで違う子になってしまったような寂しさや辛さを感じる事もあるかと思います。お薬の使用や病院に預ける事に後ろめたさを感じたり、介護に疲れ苛立ってしまう事もきっとあるでしょう。

認知症の発症は誰のせいでもありません

そして飼い主さんが愛情いっぱいに愛犬を育て、大切にしてきたからこそ長い人生を過ごしてくることができた、という事実。どのように愛犬と向き合っていくのかは飼い主さんの数だけ答えがあります。

一番大切なのは飼い主さんもワンちゃんもできる限り穏やかに過ごしていける事です。誰よりも愛犬と寄り添ってきた飼い主さんが悩み、決めた答えであればそれが正解です。

私たち動物病院のスタッフは医療的なケアを行うことはできますが、ワンちゃんの性格や好み、癖、行動パターンの全ては把握していません。全てを見てきた飼い主さんからご相談頂ければよりワンちゃんに合った治療方針が出せる事もあります。

一人で抱え込まず、頼れる場所には頼り、無理のない形で愛犬をサポートしていきましょう。

 


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