動物病院では月に1度は必ずと言っても過言ではないほど見かけるワンちゃんの誤食事故。食べてしまう物はチョコレートや玉ネギ入りのパン、骨付きチキンなど香りが強い食べ物が多い印象です。
とはいえ実はワンちゃん達の誤食は【食べ物】とは限りません。飼い主さんがまさか…と思う意外なものを口にしてしまう事も!
そこで今回は私自身が遭遇したエピソードを交えて誤食危険物をご紹介していきます。
綿棒
理由はわかりませんが、ワンちゃん達はなぜか綿棒が大好き!噛んだ時の食感が良いのかもしれませんね。
実は綿棒を大量に誤食して来院するワンちゃんは、驚くほどたくさんいるのです。綿棒はレントゲンには写らないので誤食が確定していれば、嘔吐を誘発させる処置や内視鏡などで排出させる処置を行います。
ぜひワンちゃんが届かない場所に収納しておきましょう。
靴下
ワンちゃん達の嗅覚はとても鋭い上に、汗や皮脂の匂いを好むと言われています。大好きな飼い主さんの靴下は、ワンちゃんにとっては特別な品物。あまりに気に入っているので靴下をボール状にして、おもちゃ代わりに与えているという方も少なくありません。
ですがここが要注意ポイント。大型犬ちゃんがそのまま靴下を飲み込んでしまった症例を何回も見かけたことがあります。上手く便で排出できればいいのですが、胃や腸を閉塞させてしまうケースも多く、開腹して摘出手術になることも。
体の大きさに合わせたおもちゃを用意してあげてくださいね。
乾燥剤
人間の食べ物に限らずワンちゃん用おやつにも入れられている乾燥剤。食べ物の香りがついていることもあり誤食してしまうワンちゃんは少なくありません。
問題は乾燥材の成分。原則シリカゲルであれば大きな影響は出ないとされていますが、生石灰では喉や食道が焼けただれてしまうことも。乾燥剤を食べてしまったときは独断で様子見はせず、必ず動物病院へ相談しましょう。
虫や動物の死骸
お散歩中に見かける機会もある動物や虫の死骸ですが、油断をしていると愛犬がパクっと食べてしまうなんてことがあります。ミミズやカエルの死骸、夏はセミを食べてしまう子も。過去には、ドブネズミの死骸を丸呑みにしてしまったゴールデンレトリバーもいました。
体に異常をきたさないものもありますが、毒性を持っていたり感染症ウイルスを持っていることもあります。様子見はせず、かかりつけ医にご相談してください。
他の動物の排泄物
他のワンちゃんや野良猫ちゃんの糞を食べてしまう事も珍しくありません。本能的な習慣や、糞から食べ物の匂いがすることが要因です。
こちらも寄生虫などの感染症をもらってしまう可能性があるため、様子見はNGです。駆虫薬の投薬などが必要になることも。
種や芯
梅干しやアボカド、プレーンや桃などの種をゴミ箱に捨てていて、愛犬がこっそり探し出し食べてしまうなんて誤食事故もよくあります。
種類で最も怖いのは食道や胃、腸管を閉塞させてしまう危険がとても高いことです。頻回嘔吐があり、お腹を開けてみると飼い主さんも気が付かないうちに種を食べていたというケースも多々起こります。
種はビニールなどにまとめ、愛犬がイタズラできない場所に捨てましょう。
タバコ
本来ワンちゃん達が毛嫌いするはずのタバコも、火をつける前だと独特な香りがするためか誤食してしまうワンちゃんが多くいます。
ニコチンは水溶性で、体内に入ると溶けだし中毒症状を引き起こします。またタバコに限らず、ニコチンパッチやニコチンガムなども要注意。
もし誤食に気が付いたら飲み物や食べ物は与えず、速やかにかかりつけに連絡しましょう。その際、食べた部分がフィルターなのか葉っぱのなのか、また銘柄なども詳しく伝え指示を仰いでくださいね。
ボールやおもちゃの部品
可愛いお洋服やおもちゃ、リードなどがたくさん売られていますが、その部品には注意が必要。付属していたボタンやリボンを誤食してしまうことがあるからです。ぬいぐるみの目の部分をむしり取って食べてしまうワンちゃんがたくさんいます。
またスーパーボールやビー玉など小さいボールを丸呑みしてしまうワンちゃんも。お子さんがいらっしゃるおうちでは特に、床に出しっぱなしにならないよう意識しておきましょう。
誤食癖があるワンちゃんには、装飾がないシンプルなデザインのお洋服をチョイスすると安心です。
もしも誤食に気が付いたら
もしも誤食に気が付いたら内容物に関わらず、一度かかりつけに相談することをお勧めします。その際重要となる情報は、『いつ』『どれくらい』『どこのメーカーのなんという商品を食べたのか』『現在症状が出ているか』などです。
動物病院を受診するときは、実際に誤食してしまったものが残っていれば持参しましょう。
子犬期はなんでも口に入れて確認しようとする習性がありますので要注意。また成犬以降でも誤食癖があるワンちゃんは何度でも誤食してしまいます。過去に5年間の間で5回も誤食し、その度に開腹手術を受けたシニアのワンちゃんも知っています。生まれ持った好奇心旺盛な性格ゆえの事故だったのだと感じました。
ワンちゃん達が誤食するときの動きは、目にもとまらぬ速さであることがほとんど。飼い主さんにとっては大変ですが、普段から足元に注意を向ける習慣をつけておきましょう!
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