マイクロチップの義務化、ニュースなどでよく取り上げられていますよね。しかし実際に我が子に挿入するとなると、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
『痛そう...』『電子チップを体に入れる事で健康トラブルが起きるかも...』と、たくさんの不安を感じるのは愛犬・愛猫を大切に思う飼い主さんであれば当然のことです。
私たち動物医療の現場にいる人間だからこそ、実際にマイクロチップのメリットを目にする機会もありますが、飼い主さんはまだまだ分からないことも多いですよね。
そこで今回は私自身が実際にマイクロチップの力を活用した例や、飼い主さんが不安に思う点を改めてまとめてみました。
マイクロチップ挿入時の痛み
マイクロチップの挿入は通常の注射より少し太い針を使用します。ただ打つ場所は皮下となりますので痛みを感じにくく、混合ワクチンなどの注射と大きく変わらないと言われています。処置は一瞬で終わりますので痛みが長く続くことはありません。
実際何度も挿入に立ち会っていますが、多くの子は緊張で固まっている間に終わってしまう...という様子です。それでも怖がりの子や、痛みにデリケートな子ですと飼い主さんは心配になってしまいますよね。
マイクロチップ挿入のために麻酔をかけることは基本的にありません。なぜなら麻酔のリスクがあるからです。それでも動物病院によっては軽い鎮静をかけて、痛みを感じにくい状態で挿入してくれることも。
また避妊、去勢などの手術を予定している子であれば麻酔が効いている手術中に挿入することもできます。ぜひ、かかりつけの獣医師に相談してみてくださいね。
挿入によって体調を崩すことはあるのか
日本獣医師会の発表によれば、マイクロチップ挿入後の副作用やショック症状の報告は国内では1件も出ていないそうです。実際に私が立ち会ってきた何百というペット達もマイクロチップを挿入した後、体調に変化があった子は一人も見たことがありません。
以前はマイクロチップを挿入しているとMRIやCTが撮影できないと言われていましたが、最近ではほとんど問題ないとされ多少画像がゆがむことがあっても撮影は問題なくできるようになっています。
体の中に異物をいれること、それに不安や抵抗があるのは自然な事です。不安がなくなるまで何度でも獣医師に相談してくださいね。
持病があっても挿入はできる?
上記にあるように副作用などはほとんどありませんので、持病があってもシニアでもマイクロチップの挿入は可能です。
ただし挿入時のストレスがその子にとって大きなリスクとなると獣医師が判断すれば挿入は行われません。その後の生活において、マイクロチップがもたらすメリットと、マイクロチップを挿入する負担を比べたうえで、その子にとっていい方が選択されます。
もちろん飼い主さんの気持ちも大切なポイントですので、どんどん伝えてくださいね。
マイクロチップに助けられたワンちゃん
私が動物看護師になって数年目、出勤途中に毎日見かけるワンちゃんがいました。年配のおじいさんと仲良くお散歩をしているのですがいつもノーリード...ゆったりペースの飼い主さんに対しまだまだ元気いっぱいという感じの若いワンちゃんで、一抹の不安を抱えながらも横目に通り過ぎる日々でした。
とある日、そのワンちゃんが私の努める病院にやってきたんです。迷子の保護犬としてです。保護主さんによれば一人で意気揚々と歩いていたそうです。
私は毎日見かけるあの子だ!と思ったものの、飼い主さんの名前もわからなければおうちもわかりません。すぐそばに住んでいるということだけはわかっているのに…。
そんな時その子にマイクロチップが入っていることがわかったのです!
データを照合し連絡先が判明、すぐに連絡をつけることができました。保護されてからこの間1時間足らずです。お迎えにいらした飼い主さんには、『元気がいいようなので、リードはしっかりつけましょう』とようやくお伝えすることもできました。
災害時に役立つと言われるマイクロチップですが、実は災害がなくてもペットが逃げ出してしまう事故は少なくありません。保護犬ちゃんが来院した場合、病院サイドはまずマイクロチップを確認しますから、元気がいっぱいの子や人見知りで怖がり屋さんな子はぜひ前向きに挿入を検討してみてくださいね。
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