実は知らない【盲導犬】のこと。デビュー前や引退後の生活とは?

盲導犬とは 

街中や公共交通機関、飲食店、盲導犬を見かける機会は度々ありますよね。とても賢いというイメージはあるかもしれませんが、彼らが盲導犬としてデビューするまでどういった訓練を重ね、引退後はどのように生活していくかはあまり知られていません。

中には「盲導犬は可哀想」という声もあります。でも彼らは子犬期から沢山の人間に触れ、愛情を知り、学び、そして誇りを持って盲導犬の仕事に就いています。

今回はそんな盲導犬について少し掘り下げてみましょう。


盲導犬の歴史

盲導犬の歴史

第一次世界大戦後、ドイツで盲導犬を訓練する組織が作られました。日本で盲導犬が知られるようになったのは昭和13年、盲導犬を連れたアメリカ人旅行者が公演を行ったことがきっかけです。

その後、ドイツで訓練された4頭の盲導犬が日本にやってきてくれます。この子たちは日本語で、かつ国内の交通事情に合わせ訓練を受けなおし失明軍人に寄贈されました。

第二次世界大戦中に一度は立ち消えてしまった盲導犬育成ですが、やはりその必要性が大きかったため戦後に研究が開始され、1967年に日本盲導犬協会が発足しました。


盲導犬の一生

盲導犬とパピーウォーカー

盲導犬になるワンちゃん達は専門の施設で繁殖、出産が行われ生後2ヵ月まで施設内で過ごします。この時期は母犬や兄弟犬と触れ合い、犬の社会化に必要な経験をしっかりと積む期間です。

その後【パピーウォーカー】という盲導犬候補生を育てるボランティア家庭にうつり、たくさんの愛情を受け成長していきます。人間との生活、褒められる事の喜び、車や電車の音、いつもと違うお出かけ先、色々なことをボランティア家族と一緒に経験することで人間への信頼や安心を覚えていくのです。

盲導犬訓練センター

1歳になるとパピーウォーカーと離れ、訓練センターに入ります。ここで様々な訓練を受け、3つの試験をクリアしたワンちゃんだけが盲導犬となるのです。

実際に盲導犬になれるのは全体の3~4割で、それ以外のワンちゃん達はキャリアチェンジといって他のお仕事に就く事も。デビューするのは2歳前後で10歳頃まで約8年間、目の不自由な方の手足となり生活のサポートを行います。10歳を迎えるとプロの判断の元、盲導犬としてのお仕事は引退することとなります。


もしも見かけたときは

盲導犬を見かけても声をかけない

街中では訓練中の盲導犬候補生や、お仕事中の現役ワンちゃんを見かける機会もあるかと思います。真面目に頑張っている光景を前にするとついつい「お利口だね」と声をかけたくなりますが、ここはぐっと我慢しましょう。

彼らは自分の仕事を全うするために周囲の音や声、匂いにとても集中しています。仮に一人でお座りしていても、それは【マテ】のコマンドをかけられている状態。声をかけたり、不用意に物音を立てて気をそらしたりしてしまうとユーザーさんに危険が及ぶ可能性すらあります。

盲導犬とユーザーとの付き合い方

信号や駅、ホームで困っていそう、危険、という場面に遭遇したときは、盲導犬に対してではなくユーザーの方に直接お声掛けをしてみてくださいね。

特に信号は盲導犬が色を識別しているわけではなく、ユーザーさんが周囲の音で判断しています。赤ですよ、青になりましたよ、と声をかけるだけでも力になれる事があります。



引退後の生活

盲導犬の引退後は

10歳を迎え、ハーネスを外したら盲導犬のお仕事は引退となります。

その後は引退犬飼育を行うボランティア家庭で余生を過ごすか、環境が整った専門の施設で仲間たちと暮らします。パピーウォーカーを行った家庭が引退後引き取るケースもありますが、全ては盲導犬協会を経由し、条件が適合した場合のみ。ボランティア家庭もしくは施設で過ごすにしても、定期的な獣医師のチェックのもと、穏やかで自由な日々を送ることが約束されています。

私自身、動物病院での勤務中パピーウォーカーさんが候補生を連れて来院されることや、現役の盲導犬がデイリーケアを受けにこられる場面に何回か遭遇しました。

どの子も共通しているのは【人が大好き】ということ。そんな尊い気持ちを持ち、人のためにお仕事をしてくれる彼らには感謝しかありません。

盲導犬協会のホームページには更に盲導犬について色々な事が紹介されていますのでご興味がある方はぜひ調べてみてくださいね!








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