白内障は耳にする機会が多いかもしれませんが、実はワンちゃん達の【緑内障】もポピュラーな病気です。
白内障は目に見えて眼球が白濁してくるので、進行すればぱっと見で気が付くことができます。それに対し緑内障は、眼球の濁りが深緑色っぽく、よく見ていなければ気が付くことができません。また急激に症状が進行し失明してしまう事もある病気です。
そこで今回は早期発見ができるよう、緑内障の症状や治療についてご紹介していきたいと思います。
ワンちゃんの緑内障とは
緑内障は目の中の圧力、いわゆる【眼圧】が上がってしまう事で引き起こる病気です。発症からたったの数日で強い痛みや視力を失う事もあり、早期発見、早期治療がポイントとなる病気とも言えます。
ワンちゃんの眼圧が上がってしまう要因として最も多いのは、眼球の中に溜まっている水(眼房水)がうまく抜けず、溜まり続けてしまうこと。眼圧があがると脳と目をつないでいる視神経がうまく機能しなくなり、さまざまな症状が出るようになります。
また重度の白内障やブドウ膜炎、外傷がきっかけとなり緑内障を併発するケースも珍しくありません。遺伝的に緑内障を発症する原発性緑内障と、好発的な要因で発症する続発性緑内障とがあります。
代表的な症状や発症年齢
緑内障の代表的な症状は以下になります。
・充血
・瞳孔散大
・目の濁り(白や緑、赤っぽくなる)
・視力の低下
・羞明(目をシパシパさせる)
・眼球の痛みにより食欲や元気が低下する
・眼球が大きく突出しているように見える
たとえ普段から愛犬の変化をよく見ていたとしても、初期の違和感に気が付くことは難しいのですが、もし異変を感じたら速やかに動物病院を受診しましょう。
原発性緑内障は発症年齢が比較的早く、3~7歳の成犬期で症状が始まります。続発性緑内障の場合は7歳以降で発症するケースが多いようです。
緑内障の好発犬種
続発性緑内障は犬種に関わらず発症しますが、原発性緑内障は発症しやすい犬種というものが存在します。それは柴犬、アメリカンコッカースパニエル、ビーグル、プードル、シーズーなど。個人的にも若齢の柴犬が緑内障を発症するケースを見かける機会が多く、愛犬が好発犬種に該当している場合は、日頃から定期的に目のチェックをしてあげましょう。
治療の方法は?
緑内障治療にはいくつかの方法があります。
ワンちゃんの目の状態や緑内障の進行度、年齢や視力の有無、痛みがあるかどうかなど複合的な状況を見て治療方法が決定されます。
代表的な治療方法は、頻回点眼を行い眼圧を下げていく方法。初期や痛みがない場合、年齢的に麻酔リスクが高い時などに選択されることが多いようです。
そしてもう一つは麻酔を使った外科的手術。点眼での反応がよくないときや痛みが強く、QOLが著しく低下してしまうようなときは積極的に外科的処置が選択されます。
ただ外科的処置と一言でいってもその内容はさまざま。眼房水が出せるようチューブを設置するものから、眼球の摘出や、シリコンボールを挿入する手術もあります。とても繊細な手術で眼科専門の病院でなければできないこともあるでしょう。
まずはかかりつけの獣医師とよく相談されることをおすすめします。
怪しいなと思ったら速やかに受診しよう
ワンちゃんの緑内障はなかなか気が付くことができず、いざ受診してみるとかなり症状が進行していた...なんてことも珍しくありません。
自宅でできる予防法はありませんが、緑内障の諸症状や好発犬種を頭の片隅に置き、怪しいと感じたときはすぐに病院に連れて行ってください。
また好発犬種に該当しているワンちゃんは、異変を感じずとも定期的に動物病院へ行き眼圧を測ってもらうことをおすすめします。眼圧測定は基本的には麻酔なしで短時間で行うことができます。ただし専用器具を持っている病院と持っていない病院がありますので、受診の際は事前に確認してみてくださいね。
もしも発症してしまっても、近年では受けられる治療の選択肢は増えています。慌てずじっくり治療方法を検討してみましょう。
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