おしっこが全く出ない!猫ちゃんの尿路閉塞の危険や治療方法とは

猫 尿路閉塞の危険

愛猫がトイレに行ったり出たり落ち着かない…でもトイレの中にはなんにもない。実はこれ、とっても危険な状態かもしれません。

猫ちゃんに多く見られる【下部尿路疾患】、その中でも全く尿を出すことができなくなってしまう【尿路閉塞】は数日で命に関わる重篤な疾患です。

早期発見、早期治療が予後を左右するため、いかに早く気が付いてあげられるかがポイントとなってきます。そこで今回は尿路閉塞の症状や治療方法についてご紹介していきます!

目次
■尿路閉塞と膀胱炎は何が違う?
■なぜおしっこが出なくなる?
■尿路閉塞の治療
■閉塞解除後の生活

膀胱炎と尿路閉塞は何が違う?

おしっこが出ない猫

膀胱炎と尿路閉塞は全く別の病気というわけではなく、膀胱炎が進行することで尿路閉塞になってしまうケースもあります。ただ症状としては明らかに違う部分があり、危険度も異なってきます。

膀胱炎は少量ずつでもおしっこが出せていて膀胱内におしっこがあまり溜まっていない状態。そして尿路閉塞はどんなに頑張ってもまとまった量を出すことができず、膀胱が尿でパンパンになっている状態です。

ただ、これを自宅で識別することは難しいと考えておきましょう。

病院を受診する猫

実際に動物病院で勤務しているとおしっこが出ないという主訴で来院される猫ちゃんは多くいます。その中で本当に尿路閉塞を起こしている子は一部分にすぎません。

というのも、実際は重度の膀胱炎を起こしていて何回もトイレに行き少しずつ出せていた、飼い主さんが気付かない場所でしていたということが多いためです。

少量頻回でしているので膀胱内に尿はほとんどないのですが、本人は強い排尿感、残尿感を感じてトイレでしぶるので飼い主さん的には出てないように見えるのですね。

頑張って排せつしようとする猫

それに対し尿路閉塞は本人が強くしぶることで数滴出ることはあっても、まとまった量を出すことはできず、膀胱内に尿がどんどん溜まり続けパンパンになってしまいます。出そうとしてトイレにこもり排尿姿勢を取り続けるような子も...。

排尿できない状態が長くなるほど膀胱に強い痛みを感じ、腎臓などがダメージを受け、あっという間に尿毒症の状態まで進行してしまいます。

緊急度は尿路閉塞の方が高いと言えるかもしれませんが、どちらも本人的にはかなりつらい状態...一刻も早い受診が必要です。

なぜおしっこが出なくなる?

おしっこを我慢している猫

おしっこが出なくなってしまう理由はいくつかありますが、結石や腫瘍が尿の通り道を塞いでしまっている場合や、尿道自体が何らかの理由で狭窄してしまっていることが主な要因です。

女の子の尿道は太く直線的なため、あまり尿路閉塞になることはありません。それに対し男の子はもともと尿道が細い上、湾曲した構造をしているので尿路閉塞を起こしやすい傾向にあります。


尿路閉塞の治療

尿路結石の診断 エコー

動物病院では、まず閉塞があるかないかを確認します。

触診で膀胱がどれほど張っているか確認し、次にエコーやレントゲンで結石や腫瘍がないかを診断します。この時点で膀胱がおしっこでパンパンになっていると、本人はとても強い痛みを感じます。エコーで膀胱の場所を確認しながら針を刺し、少しおしっこを抜いてあげる処置を行う事も。

猫 カテーテル

更に閉塞が確認出来た後は、尿道用の柔らかいカテーテルを挿入して閉塞を解除していきます。

痛みやストレスがかかるため、暴れてしまうことも少なくありません。カテーテル挿入は、とても繊細で時間もかかるので、できるだけ鎮静をかけてあげたほうが良いでしょう。

ただし、持病があり鎮静をかけられない子もいますので、かかりつけの獣医師の判断と飼い主さんのご希望によって決まります。

私が勤務する動物病院では、猫ちゃんの閉塞解除はできるだけ最短時間で済むよう他の患者さんに事情を説明し、お待たせしてでもスタッフを総動員して行います。それほど緊急的な扱いである処置といえます。

猫 入院処置の仕方

閉塞解除後は、カテーテルを挿入したまま固定して尿道や腎臓などを一度お休みさせてあげます。その間は入院治療が基本となるでしょう。

おしっこが出せない状態がどれほど続いていたかによって、猫ちゃんの状態は大きく変わります。閉塞から24時間以上経過していると腎臓が大きなダメージを受け回復にも時間がかかると言われています。

入院中はカテーテルからの排尿を適宜確認しつつ、点滴を流して体の状態を改善していく治療を行います。早ければ3日程度、10日近く入院するケースも珍しくありません。

カテーテルを抜いたあとは自力排尿がきちんとできるか確認した上で退院となります。

改善が見られない時は、結石摘出手術を始め外科的治療のステップに進みます。これは状態によって内容が大きく変わりますので獣医師とよくご相談されてくださいね。


閉塞解除後の生活

猫の閉塞解除後の生活

閉塞が解除でき、体の状態も良くなってきたら自宅での生活に戻ることができます。

ただし、再発防止のため食事や体重管理、定期的な尿検査など少し生活を見直す必要も出てくるでしょう。またどんなに注意していても再発を繰り返してしまう子もいます。

尿路閉塞の治療の中には【会陰尿道痩設置術】といって尿道を広げるような手術もあります。閉塞しなくなる代わりに細菌性の尿路疾患にかかりやすくなるデメリットもありますが、検討してみるのもいいかもしれません。

尿路疾患は発症率が高い上、何より本人が辛く見ている飼い主さんも胸が痛くなる疾患です。まずは普段のトイレの回数や尿量をしっかり把握しておき、異常時にすぐ気が付くことできるようにしておくと安心ですよ。





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