猫ちゃんたちの寿命、これは私が動物看護師になった15年前と比べても長くなってきているなと感じています。予防医療やフード、飼い主さんたちの知識向上など住環境の質があがってきている事が理由と言えるでしょう。
とはいえ長生きするということは、加齢によって発症する病気を抱え日常生活を送る子も増えてくるということ。中でも【腎不全】は某ペット保険会社が公開している最も保険申請が多かった病気第1位を獲得するほど猫ちゃんにはポピュラーな病気です。
そこで今回は、飼い主さんに是非知っていただきたい、腎不全の基礎的なお話をまとめてみました。
猫の腎不全発症率
猫ちゃんの腎不全に関しては、たくさんの文献が発表されています。発症率に関しても様々な説がありますが、私自身の体感として7歳以降に発症率が上昇し15歳以降で全体の約30%が発症するというデータが最もしっくりきています。
前述したペットの保険会社による統計も、1位である腎不全は6万件あるのに対し、2位の嘔吐、下痢は2万件ほど。いかに猫ちゃんの腎不全が多いのかがわかりますね。
腎臓は沈黙の臓器とも言われていて、症状が出始め飼い主さんが異変に気が付く頃には既に腎臓の80%近い機能が失われているというケースも少なくありません。腎臓は一度失った機能を取り戻すことは難しく、進行を遅らせる治療がメインとなります。いかに早期発見できるかがポイントとなのです。
近年では通常の腎臓数値のほか、早期の腎不全を察知できる血液検査項目などもあるため、7歳以降は定期的な血液検査を受ける事が望ましいとされています。
そもそも腎不全ってどんな病気?
猫ちゃんの腎不全には数時間から数日で急激に進行していく【急性腎不全】と数年単位で少しずつ進行していく【慢性腎不全】があります。
中には若齢でも中毒や尿路疾患から急性腎不全を発症し、そのまま慢性腎不全へ移行していくようなケースも。早期発見、早期治療は年齢に関わらずとても重要です。
本来腎臓は体の毒素を尿として体の外へ排出し、電解質のバランスを整える機能を持った臓器。これが機能不全を起こすことで体内に毒素がたまっていき命に関わる重篤な症状へと繋がっていくのです。
代表的な症状は?
腎不全で見られる代表的な症状は、
・多飲多尿
・口臭
・体重減少
・食欲低下
・口の痛みや口内炎
などがあげられます。
特に多飲多尿は飼い主さんが病気に気が付くきっかけになる事が多く、今までなかった量の水を飲み、透明なおしっこを頻回にするという異変が現れます。こういった症状が出てきた時点で症状が進行している可能性がありますので、速やかに動物病院を受診しましょう。
治療や予防の方法はある?
猫ちゃんの腎不全が、いかに発症率が高く、身近な存在か、以前よりも意識する飼い主さんは増えてきているように感じています。
予防に役立つサプリメントやお薬を希望される方も多く、メーカー側も様々な商品を開発してきました。代表的な腎不全の予防策は、塩分過多にならない食事、定期的な血液検査があげられます。発症前からサプリやお薬、療法食をスタートする事もありますが、これは獣医師の判断に従いましょう。
腎不全を発症したあとは進行を遅らせる治療がメインとなります。症状が重い場合には入院して点滴治療を。自宅で過ごせる程度の状態であれば内服薬や療法食、皮下点滴で治療を進めていきます。
現在、猫ちゃんの腎不全にはAIMタンパク質が大きく関係しているという研究結果が出ており、これに基づいた治療が試されているところです。今後更に治療の選択肢が増えていくかもしれませんね。
自宅でできるケア方法
おうちでできるケアとしては食事管理、水分補給のサポート、尿量のチェック、皮下点滴などがあげられます。
腎臓系の療法食もおいしいものが増え、ドライの他にウェット缶やパウチタイプも出ています。ウェットタイプの方が水分も多く含んでいますので気に入ってくれれば積極的に活用していきましょう!皮下点滴は最初こそ難しく感じるかもしれませんが慣れてしまえば飼い主さんでも問題なく行うことができます。
大きな注射にびっくり!【皮下点滴】をご存知ですか?
慢性の腎不全を発症したあとはどこまで、どのような治療を行っていくか、基本的に飼い主さんの判断になります。もちろん獣医師や看護師も相談に乗ってくれますので迷ったときは遠慮せず声をかけてみてくださいね。
我が子の性格や体調に合わせベストな選択ができるよう発症前から心の準備をしておきましょう!
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