猫ちゃんが全抜歯をする理由とは?費用や術後の食事ケアのポイントを抑えよう

猫が全抜歯する理由

愛猫のお口が臭う、ヨダレを垂らすようになった、食欲がない、そんな異変が出てきた時は要注意!歯肉炎や口内炎などの口内疾患になっている可能性があります。

口内疾患はシニア期に起こると思われがちですが、若い猫ちゃんに見られることも珍しくはありません。大きな病気ではないし…と放置しているとあっという間に進行し猫ちゃんの生活に大きな支障が出てしまうかもしれません。

そんな時に行われるのが【全抜歯】です。

ではなぜ抜歯をすることが口内疾患の治療になるのでしょうか?今回は猫ちゃんが全抜歯を受ける理由や、その費用、処置後の生活についてご紹介していきましょう。

目次
■猫ちゃんが全抜歯を行う理由
■全抜歯のメリット、デメリット
■かかる費用や入院日数
■全抜歯後の食事やケア
■全抜歯に迷ったら


猫ちゃんが全抜歯を行う理由とは?

猫の全抜歯の理由

抜歯と聞くと飼い主さんの多くは抵抗を感じるのではないでしょうか?歯肉炎や口内炎があるからといって歯を抜いてしまうなんて人間では考えられませんよね。

ですが猫ちゃん達は歯を抜くことが口内疾患を治すことに繋がります。というのも歯石が沈着した歯は細菌が繁殖する温床。加齢やウイルスで免疫力が低下している猫ちゃんにとってその細菌が大敵なんです。

たかが口内疾患と侮るなかれ。歯茎だけに留まらず、喉奥まで強い痛みや炎症、ただれ、ヨダレ、出血などが見られ生活の質を大きく落としてしまいます。原因となる歯を根元から抜いてしまう事が唯一完治可能な治療方法と言われており、重度であればあるほど全抜歯が採用されます。

ただし、それでも必ず治るというわけではなく完治が見込める可能性は60~80%前後。猫ちゃんの年齢や持病の有無、麻酔への耐性などを考慮して抜歯手術を行うか慎重に判断する必要があります。


全抜歯のメリット、デメリット

猫全抜歯 メリット・デメリット

【メリット】
全抜歯を行う最大のメリットはやはり治療効果の高さです。

抜歯以外の治療方法はステロイドのお注射やお薬など対症療法にすぎず、一定期間が過ぎると症状がぶり返してしまいます。

その点口内疾患の根源である歯を抜いてしまえば、その後長い期間良い状態を保つことができるため猫ちゃん本人はもちろん飼い主さんにかかる通院や治療費の負担も軽減されます。

【デメリット】
デメリットは抜歯の際、全身麻酔を必要とする事です。

抜歯を行う本数が多いと手術時間も長くなりますし、出血が多ければ口腔内を縫合する必要もあります。もちろん手術前にできうる検査は全て行い、万全を期して麻酔を使いますがそれでもリスクを伴う事は頭に入れておきましょう。

また歯の根っこが残ってしまうと症状が改善しない、すぐにぶり返すといったことになりかねません。歯科に強い病院で処置を受けた方が安心です。

かかる費用や入院日数

猫の抜歯費用

一概にはいえませんが猫ちゃんの全抜歯にかかる総費用は10~20万前後です。抜歯の本数が多いほど金額も大きくなるでしょう。

入院は1泊~3泊程度で、麻酔からの覚め具合や食欲元気の状態、お口から出血がないか、など一般状態が安定していることが確認出来たら退院です。

全抜歯後の食事やケア

猫の全抜歯後の食事

歯を抜いてしまったら流動食しか食べられないですか?とご質問いただくことが多いのですが、そんなことはありません。


猫の歯は本来、獲物を引き裂くためにあり、食べ物を噛み砕くためではありません。家庭で出される食事は噛み切る必要がないため、今まで通り問題なく食べることができます。

ただ術後は違和感から食が進まないこともあるので、ウェットフードを用意しておくと安心。しばらくすると、口の痛みから解放され今まで以上に食べるようになる子もいるほどです!

猫の全抜歯 メリット

歯を全て抜いてしまえばデンタルケアはもう必要ありません。

もし何本か残すようであれば歯磨きなどを行って定期的に獣医師にチェックしてもらってくださいね。

全抜歯に迷ったら

猫の全抜歯に迷ったら

全抜歯を行うにあたり、葛藤する飼い主さんは多くいらっしゃいます。実際にそういったご相談を何度も受けてきました。

1度の麻酔で一気に抜いてしまうか、残せる歯は残して症状が再発したら再び処置を行うか、手術はせず対症療法を繰り返しながら様子を見ていくか…など選択肢はいくつかあります。

猫の全抜歯

過去に15歳を超え、複数の持病があり麻酔をかける事自体かなり危険と判断された猫ちゃんがいました。それでも飼い主さんは麻酔をかけ全抜歯を行う事を希望されたんです。

それは命がけになったとしても、食事のたびに激痛に襲われ苦しみを感じる今の状態のまま生きながらえさせるよりはずっといい。とのお気持ちからでした。手術はうまくいき、その後なんと19歳まで穏やかな余生を過ごすことができました。

ですがあくまでこれはうまくいった一例。

麻酔にリスクがあることや完治しない可能性も念頭におかなくていけません。まずは歯科に強い動物病院で信頼できる先生を見つけ、じっくりと相談してみてくださいね。
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