愛犬の一生にかかる総額は?ワンちゃんを迎える前に知っておきたいこと



ワンちゃんとの暮らし、幼いころから憧れていた…!という方も多いのではないでしょうか?

かく言う私もその一人。お散歩やドッグラン、旅行など愛犬と過ごす時間はきっと楽しくて素敵なものなのだろうと想像したものです。ですが当時学生だった私は犬との暮らしにどれほどのお金がかかるのかをしっかり把握していませんでした。

家族が1人増え、その生涯を見届けるのが飼い主さんの責任。そこにかかる金額を事前に知っておくことはとても大切な事です。では実際、何に、いくらかかるものなのでしょうか?

今回はワンちゃんの生涯にかかる金額を算出してみました。

目次
■生体販売の矛盾
■最低限かかるお金とは?
■予想外に起こる出費
■お金がない、は飼えないとイコール?


生体販売の矛盾



最近になりペットショップやブリーダーなど生体販売を行うものに対しての法整備が進んできました。代表的なものはマイクロチップの装着義務や販売する月齢の縛りでしょうか。

生体販売価格はピンキリで15万円~100万円前後。月齢が浅いワンちゃんや体が小さいワンちゃん、純血のワンちゃんが高値で売買される傾向にあります。

新しい家族とのご縁をつなぐ場所。疑問を感じるのは【分割払い可能】と明示している店舗があまりに多いことです。中には24回、36回と月額1万円以内に収まるような分割プランも用意されており、分割にすればなんとか…という状態でもお迎えできてしまうのが現状です。

厳しいようですが金銭的な面でも責任を持てなければワンちゃんを飼ってはいけません。お迎えからがスタート!どうか先々のことを試算して検討してほしいなと思います。



最低限かかるお金とは?



ワンちゃんが健康に一生を過ごした場合、最低限必要な費用はどのくらいかかるのでしょうか。平均寿命が14歳で、日本で最も飼育頭数の多い犬種であるプードルを例に試算してみます。

・フード 3000円/月×12か月×14年
・混合ワクチン(年1回接種として) 7000円/回×14年
・狂犬病予防接種(年1回接種として) 3600円×14年
・フィラリア予防(5~12月)1500円×8か月×14年
・ノミやマダニの予防(5~10月)1500円×6か月×14年
・シャンプーカット8000円×12か月×14年
・消耗品(シーツやお散歩用品)5000円×12か月×14年
総計317万円程。

ここに体調不良時の医療費、療法食代、ペット保険に加入するのであれば保険料、お留守番時の空調費などが加わります。予防薬は地域によって通年投与が必要ですし中型、大型犬であれば更に数百万円がプラスされると考えましょう。



予想外に起こる出費



動物には人間のような健康保険はなく、任意で加入するペット保険があるのみです。

動物病院は自由診療のため価格設定もまちまち。特に大学病院や専門病院、二次診療施設は医療費も高額になってきます。『若いうちはペット保険に入っていたものの病気をしないから』と新規加入困難なシニア期に入ってから保険を解約し、その直後に大病を患ってしまうケースも少なくありません。

手術や抗がん剤治療は場合によって100万円以上の費用がかかります。私自身金銭的な負担が大きく治療を諦めざるを得ない飼い主さんを多く見てきました。

これは人間と異なる医療費算出方法のため、そこまでの大きな費用がかかること自体想定外だったのでしょう。また、動物病院の関係者でなければ金額の目途をつけるのは難しいと思います。

突然大きな金額が必要になることもあると知っておきましょう。




お金がない人は飼ってはいけない?



過去に、迷子の犬を保護し、当院へ連れてきてくださった方がいらっしゃいました。

そのワンちゃんは外を徘徊していたため、診察だけでなく各種検査も必要でした。しかし、保護主の方は「金銭的に厳しい。せっかく命を救い、一緒に暮らそうとしているのに、金銭を要求するのか」とおっしゃいました。

私たち動物病院のスタッフは、もちろん動物が好きでこの仕事をしています。しかし、どんなにお気持ちは理解できても、無償で医療を提供することはできません。さらに、「お金がない人間は犬を飼うべきではないのか?」という質問に対し、対応した獣医師は 「その通りです」 とお答えしました。



命を助け、受診されたことは素晴らしい行動ですが、ワンちゃんの一生を受け入れるには、それ相応の費用がかかるのも事実です。 その後、保護主の方と相談し、病院で里親を探すことになりました。そのワンちゃんは、最終的に素晴らしい里親さんと出会い、幸せな生活を送ることができました。

ペットを迎える際には、十分な準備と責任が伴います。もし、周囲に勢いだけで飼おうとしている方がいたら、ぜひ一度考える機会を作ってあげてくださいね。

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