ワンちゃん達の第2の顔でもある“しっぽ”。
素知らぬ顔をしていても隠し切れない喜びが、ブンブンと揺れ動く尻尾から伝わってくる…そんな微笑ましいシーンを何度も見かけてきました。尻尾が短いワンちゃんがお尻丸ごと振っている姿なんかたまりませんよね!
でも、実はワンちゃん達のしっぽにまつわるトラブルは多いんです。そもそも尻尾がどのような仕組みでできているかご存知でしょうか?
今回はワンちゃんの尻尾の仕組みやその不思議、そして注意してあげたいケガについてご紹介していきます。
ワンちゃんの尻尾の仕組み
ワンちゃんの尻尾は骨と筋肉で構成されています。6~23個の尾骨が連なっていて、先端に行くほど小さくなっているのが特徴です。
さらには、この尾骨の周りには複数の筋肉が集まっているので、自由自在に動かすことが可能。嬉しい、楽しい、怖い…さまざまな感情表現ツールとしての働きがある他、体の舵取りや防寒、体温維持まで担う働き者なのです。
ご機嫌ワンちゃんは注意!ハッピーテイル症候群
ご機嫌ワンちゃん達に注意してもらいたい尻尾のトラブルが「ハッピーテイル症候群」。正式名称ではありませんがその名の通り、ハッピーな尻尾に起こるトラブルの総称で主に動物医療の現場で使われる病名です。
嬉しさや楽しさから激しく尻尾を振っている時に床や壁にぶつけてしまい、痛めてしまった状態を指します。
前述した通り、尻尾は複数の筋肉によって構成されているため大型犬ともなるとしっぽを振った時の威力はかなりのもの。尻尾を負傷したにも関わらず、興奮状態になっていると動きが止まらないので、出血するほどの傷を負ってしまう事も珍しくありません。
制御するのは難しいですが、興奮しすぎないよう接し、周囲の環境に目を配ることが大切です。
尻尾を追いかけるのはなぜ?
ワンちゃんの中には自分のしっぽを追いかけてグルグル回る「尾追い」という動作を見せる子がいます。この動作をする時は以下のような理由が原因かもしれません。
・好奇心から追いかけている。
この場合は声掛けや他のおもちゃで気を引けばすぐにやめてくれるでしょう。子犬期によく見られますが心配はありません。
・尻尾に傷や痛みがあり気にしている。
違和感から追いかけている時は意識をそらそうとしても反応しないかもしれません。触らせてくれるようであれば異常がないか確認してあげてください。
・ストレスやメンタル面の不安定から追いかけている。
飼い主さんから離れると不安が強くなる分離不安や、何度も同じ行動をとってしまう常同障害など、メンタル面が不安定だと尾追いが見られます。
この場合は安定剤やサプリメント、行動療法が必要になる事もあるので動物病院の受診がベストです。
・てんかん発作が原因。
てんかん発作が起きて尾追いをしているケースも。脳の回路が混乱し、尻尾に攻撃される、追いかけられているという幻覚を見てパニック状態になっていると言われています。
この場合は尾追いだけでなく、自分の尻尾に噛みつくなど攻撃に出るワンちゃんも。てんかん薬の服用で改善することもあるので獣医師に相談してみましょう。その際、動画に収めた尾追い行動を見せると伝わりやすいですよ。
様子見はNG!尻尾が壊死する場合も
しっぽの傷は様子見をしている間にどんどん進行してしまいます。
飼い主さんが気が付いたころには壊死が進んでおり、断尾手術せざるを得ない状態になっていることも...。また尾追いに関しても、続くようであれば行動療法や安定剤などのサプリメントを検討してもいいかもしれません。
愛犬の可愛い“しっぽ”を守るためにも、異常を見つけたらすぐに動物病院へ受診しましょう。