よく眠るイメージがある猫ちゃん。その寝姿はなんともいえない愛らしさです。
筆者が働く動物病院にも院内を自由に散策する猫たちがいるのですが、どれほどスタッフがバタバタしていようとも素知らぬ顔でスヤスヤ…これが猫好きにはたまらないものがあります。
そんな猫たちですが、いざ夜になると大運動会を始めてしまう子もいるのではないでしょうか?結果飼い主さんが寝不足になってしまうようなケースも珍しくありません。
実は、これは猫ちゃん達の睡眠サイクルや習性によって引き起こされているもの。そこで今回は人間と猫ちゃん達の睡眠サイクルの違いをご紹介していきます!
猫の生活リズム
猫は夜行性と思っている方が多いのですがこれは誤りです。
「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」というのが猫ちゃん達の性質。これは明け方や夕暮れ時に活発になる習性で、猫ちゃん達の祖先が狩りをしていた頃の名残りと言われていいます。
日光をできるだけ避けた時間帯に活動することは狩りのしやすさ、体力温存につながるため野生時代はとても理にかなった生活リズムだったんですね。これが深夜や早朝の大運動会の原因。
決して生活リズムが乱れているわけではなく、猫ちゃん達が本来持っている習性通り活動している結果といえるでしょう。
雨の日はいつもより寝ている、というのも天候が悪い日は狩りができない事から眠って過ごす習性があったためのようです。
ただし現代の家猫ちゃん達は、人間の生活リズムに合わせて暮らす子も多いため、うちの子は夜爆睡している…という方も決して心配する必要はありません。
睡眠サイクルは人間と違う
人間の睡眠サイクルは深い眠りのノンレム睡眠、浅い眠りのレム睡眠を交互に行いその割合はレム睡眠が80%を占めます。
それに対し猫ちゃん達は二つの眠りを交互に行う点は同様ですが、割合はレム睡眠が80%を占めているんです。これは外敵の接近にいち早く気が付くため。
体を起こし箱座りで眠っている時は周囲を警戒しながらうとうとしている時、お腹丸出しで仰向けで寝ている時は完全にリラックスして眠っている時です。
また寝起きに体をのばしたりあくびを連発する行動は酸素を体に取り入れす、ぐに体を動かせるための準備運動のようなもの。そう考えるとなんだか可愛らしいですよね!
猫の理想的な睡眠時間
猫ちゃん達の平均睡眠時間は約16~18時間、1日の半分以上は眠っているのが正常です。
本来肉食であった猫ちゃん達は、消化吸収に時間がかかるためより多くの睡眠が必要だったとされています。また子猫やシニアの場合は20時間近く眠ることもありますが、これも自然なことです。
寝てばかり!と感じるかもしれませんが、たくさん眠る子は長生きするとも言われているので、可愛い寝顔をぜひ見守ってあげてくださいね♪
一緒に寝たがるのは甘えているから?
猫ちゃんが布団に入ってくる、という方も多いのではないでしょうか?
筆者も一緒に暮らしていた愛猫がお布団にもぐってきてくれる時は至福の時でした…!猫ちゃん達が一緒に寝たがる理由はいくつかあります。
・甘えたい
・安心する
・お布団が好き
・暑いor寒い
・守りたいなど。
飼い主さんが大好きなので甘えたい、安心するという理由で一緒に寝たがる子が多いようです。お子さんと眠りたがるようなときは、守ってあげなくちゃ!と考えているのかも?
猫ちゃん達は、とっても気まぐれなので飼い主さんが寝入ってから寝場所を変えることも。そこはお任せして、自由にさせてあげましょう。
寝てくれない時は病気に注意
薄明薄暮性の習性が残っている子でも、日中にしっかり睡眠を取れていれば問題はありません。心配なのは1日を通してあまり眠れていない子です。極端な睡眠不足は病気のサインという事も。
例えば甲状腺機能亢進症などは興奮状態になってしまったり、夜鳴きをするようになることがあるんです。その他にもどこかに痛みがあるときや、気持ち悪さがあると睡眠姿勢を取らなくなります。
体調不良をギリギリまで隠す習性があるため、異変を感じたときは早めに病院を受診しましょう。
また寝床は清潔か、場所は悪くないか、など睡眠環境を今一度見直してみるのもいいかもしれませんね。愛猫に良質な睡眠を取ってもらい、長生きしてもらいましょう!