犬の胃捻転ってどんな病気?原因や緊急時の対応方法とは

犬の胃捻転

みなさんは【胃捻転】という病気をご存知でしょうか?

この病気は致死率が50~60%と非常に高く、動物病院スタッフに緊張が走る緊急症例の一つでもあります。

発症時は速やかに動物病院を受診し、適切な処置を受けなくてはなりません。そこで今回は胃捻転を疑うべき症状や治療の方法、自宅でできる予防策についてご紹介していきます!

 

目次
■犬の胃捻転ってどんな病気?
■発症する原因とは
■発症しやすい年齢や犬種
■発症時の代表的な症状
■診断方法や治療
■予防を意識して生活しよう

犬の胃捻転ってどんな病気?

犬の胃捻転とは

胃捻転はその名の通り胃が捻転、つまりひっくり返ってしまう病気です。両端がねじられているキャンディーの包みをイメージするとわかりやすいかもしれません。

捻転の前段階として胃の中でガスが発生し大きく膨らんでしまう【胃拡張】という状態になります。この膨らんだ胃がひっくり返ると周りの臓器が圧迫され、血流が止まり、急激に全身状態が悪化。最悪命を失う事になりかねません。

発症時はすぐに動物病院を受診し、緊急で処置や手術を受ける必要があります。


発症する原因とは

胃捻転 原因

実は胃捻転のはっきりとした原因はわからないことも多いんです。

ただリスクがあるとされているのは
・早食い
・ガツ食い、ドカ飲み
・食後すぐの運動
・神経質、臆病な性格
・脾臓摘出を受けている
・加齢
・犬種
などがあげられます。

やはり食事に関したものが多いのが特徴です。早食いやドカ食い、お水の多量摂取、食後の運動などはどれも胃拡張を起こしやすい代表的な行為...。食が強い子や運動好きなワンちゃんは特に注意してあげましょう。

胃捻転 運動好き

また過去に何らかの理由で脾臓を摘出しているワンちゃんは、お腹の中で胃が捻転するスペースができてしまっているため発症リスクが高めです。

予防策として摘出時に胃を固定する処置を同時に行う場合もありますので、心当たりのある方は手術を受けた病院に確認してみてください。


発症しやすい年齢や犬種

胃捻転 発症しやすい犬種

胃捻転は若いワンちゃんよりアダルト期後半からシニアのワンちゃんに多い傾向にあります。

またグレートデーンやセントバーナード、スタンダードプードル、ダルメシアンなど胸が深く、体が大きな犬種は捻転を起こしやすい体格ともいえるので注意が必要です。

小型犬でもダックスやバセットハウンドなどは発症報告が多数あり、体格犬種に関わらずどのような子でも発症する可能性はあると考えておきましょう。

実際に動物病院で勤務していると、これらの犬種に関わらず、さまざまなワンちゃんの発症を見かけます。


発症時の代表的な症状

胃捻転の症状

胃拡張、胃捻転の代表的な症状は以下になります。
・お腹がふくらむ
・ハアハアと苦しそうにする
・えずく
・チアノーゼを起こす
・よだれが出る
・ぐったりとする

こういった症状が出てきた時は様子見は厳禁!

どれだけ早く気が付き、処置を受けるかが命を救う分かれ道となります。夜間や休日であっても診療を受けてくれる病院を探して受診しましょう。


診断方法や治療

胃捻転の治療

胃拡張、胃捻転の診断はレントゲン検査で行います。撮影すると大きく膨らんでいたり、ねじれたりしている胃を見て確認できるでしょう。

更に血流が悪くなっていることで、全身にどのような異常が出ているかを血液検査でチェックします。

検査結果をもとに
・お腹に針を刺しガスを抜く
・お口にチューブをいれガスを抜く
・内服薬でガスを抜く
・点滴をして全身状態改善を行う
・麻酔をかけ胃の位置を戻し固定する
といった治療を行っていきます。

胃拡張だけであればガス抜きのみで治療が完結することもありますが、何度も繰り返してしまう子は胃捻転まで進行しないよう、胃を固定する手術を勧められることも。

予防を意識して生活しよう

胃捻転の予防

胃拡張、胃捻転の予防には食事の管理が最大のポイント!

早食いをしてしまう子は早食い予防のお皿を使用し、一回の食事量を減らす代わりに食事回数を増やしてあげるといいでしょう。

少量頻回の食事スケジュールに変更することでお腹の中でフードが膨張しても胃拡張や胃捻転まで進行するリスクを抑えることが可能です。

食事後3時間ほどたつと食べ物が胃から腸へと移動していきますのでお散歩はこのタイミングを待ってから行くと安心です。もしトイレ出しなどで食事後すぐにお外に出るときは、全力ダッシュをさせないなど、テンションがあがりすぎないよう注意してあげてくださいね。

上記であげた好発犬種のワンちゃん達は、予防策として避妊や去勢手術の時に一緒に胃固定を行うことができるケースもあります。

しっかり予防を行いつつ、もし症状が出たときは迷わず受診することを覚えておきましょう!
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