食品添加物と言えば、良い印象を持たない方がほとんどかもしれません。
しかし、現代の社会の食生活において、間食や外食なども一切せず、すべてを新鮮な肉や野菜を使った無添加の食事で済ませることは、難しい時代となりました。
インターネットで添加物について調べてみると、添加物は怖いもの、病気の原因になるという意見が圧倒的に多く、世間的には悪者扱いされていることがわかります。
ペットフードは、一部の高級フードや国産フードに関して、添加物未使用のものが増えてきた感があります。
ここでは、あらためて添加物について見直してみます。
ペットフードの食品添加物とは一体どんなもの?
まずは添加物について、大まかな理解をしておきましょう。人用の食品添加物
まず人の添加物は、食品衛生法や食品安全法に従って使用が制限されています。安全性を評価した上で厚生労働省が指定した449品目の添加物。平成7年の時点で、既に長い使用実績のある356品目の添加物。
その他、約600品目の天然の食品香料と約100品目の一般飲食物添加物の4種類に大きく分けられます。
これらを用途別にみれば、次のようになります。
(1)食品の製造や加工のために必要なもの
(2)食品の風味や外観を良くするためのもの
(3)食品の保存性を良くし食中毒を防止するもの
(4)食品の栄養成分を強化するもの
細かく書けば次のようになります。
甘味料・着色料・保存料・増粘剤・安定剤・ゲル化剤又は糊料・酸化防止剤・発色剤・漂白剤・防かび剤又は防ばい剤・乳化剤・膨脹剤・調味料・酸味料・苦味料・光沢剤・ガムベース・栄養強化剤・製造用剤等・香料
人間の食品添加物がこんなにもある中で、ペットフードはさらに規制が緩くなります。
ペットフードの添加物について、誰もが確認できるものについては、ペットフード安全法で規制されている添加物類があります。それらをもとに、ペットフードの添加物使用についての現状の一端を見てみることにします。
ペットフードの添加物に関する基本的情報
ペットフードの添加物については、一般社団法人 日本ペットフード協会のHPにも記載されています。その内容は
『添加物を使用する際の基準と制限 / 日本では、ペットフード安全法で添加物の使用基準が設けられております。また、ペットフード協会では「添加物に関する自主基準」も定めており、これらの基準のもとに製造や輸入が行なわれています。』と書かれています。
このペットフード安全法での添加物の使用基準が決められているのは、エトキシキン・BHA・BHT、そして亜硝酸ナトリウムです。
例えばエトキシキンは、農薬で食品添加物としても国内では認められていないものですが、海外では魚粉の運搬や保管時に自然発火を抑えるための添加物として使用されているものです。
また、家畜や家禽の輸入飼料中に含まれていることもありますので、国内でもその飼料を与えられて育った牛や鶏の肉、脂肪などにエトキシキンが含まれることもあります。
もし、魚粉をタンパク源として使用した海外製のペットフードに、酸化防止剤としてもさらにエトキシキンが使用されていた場合、そのフードのエトキシキンの濃度は高くなりますので、ペットフードの原材料を確かめる時には、そのような想像力を少し働かせてみるのも大切になってきます。
ペットフードに使われている添加物を調べる
今与えている、もしくはこれから購入しようとしているペットフードの添加物の種類は、パッケージを見ることで確認できますが、パッケージだけを信じて果たして大丈夫なのだろうか?と疑問を覚える飼い主の方は実際多いのかもしれません。しかし、ペットフード安全法(以下、安全法とだけ記載)が施行されて以降は、ペットフードに使用されている原材料の表記は、原則的に添加物を含む全ての原材料を表示しなければならなくなっています。問題は、その量がわからないということです。
インターネットでは、添加物がペットに与える害ばかりが大きく取り沙汰されていますので、もしペットが病気になれば添加物を疑い、楽しいはずの食事に神経質になってしまう方もらっしゃいます。
しかし、あなたが添加物の実際の量を知りたいのなら、安全法で定められた4種類を調べるためだけでも、食品分析を行ってくれる機関や企業に、何万円もの費用が必要なのが現実です。
ペットフードに使用されている添加物量の目安
添加物の量についての目安を知ろうと思えば、こちらも安全法で示されている数値が唯一、誰にでもわかるものでしょう。
では今回も、輸入フードに使用されることのある抗酸化剤・殺菌剤のエトキシキンという添加物を見てみましょう。
現在(2017年)の環境省より、安全法の準規格等は、ペットフード1g(グラム)当たり、最大0.075mg(ミリグラム)のエトキシキンの含有量が認められています。
2~3キロのワンちゃんが1日50gのペットフードを食べたとした場合、最大3.75mgまでのエトキシキンを食事から得る可能性があるということになります。
一方、人の食事においてもエトキシキンは、家畜や家禽、養魚用飼料中に含まれたものが残留してしまうことがあります。そのためWHOでは1日の人の摂取許容量を体重1kgあたり0.06mgと定め、日本国内では食品安全委員会が体重1kgあたり0.005mgを許容量としています。
先ほどのペットフードの量と比べてみましょう。上記のペットの場合だと、体重1kgあたり最大1.25~1.875mgものエトキシキンをペットフードでは許容量とされています。
保存、加工食品には人やペットでも、様々な添加物が含まれていますが、それ以外にも残留農薬、汚染物質を含め、多種多様な食べ物以外のものが含まれている可能性があります。
私たち人間の食事も添加物の管理は難しい状態で、ペットの食事を毎日新鮮な食材で手作りすることはたいへん難しいことです。
したがって、注意すべきことはペットフードを与えながらペットとともに暮らしていく中で、彼らの不調を発見した場合、食事を疑うことが必要な場合もあるということなのだと思います。
筆者:イノヨシ