ワンちゃんの食事の定番といえばドッグフード(=ドライフード)です。
数えきれないほどの種類が販売されるようになりましたが、与え方についても いろんな与え方をする飼い主様が増えてきたようです。
かわいいワンちゃんをいたわってのことなのですが、少し気を付けた方が良い場合もありますので、今回はドライフードを砕いて与える場合について考えてみましょう。
そもそも、ドライフードを砕いて与える必要は?
10~20年前とは違って、現在ではたくさんの犬の種類があるのに合わせて、フードが細分化されるようになり、小型犬用は小粒、中型犬や大型犬用には中粒~大粒を用意するメーカーが増えてきました。
たとえ小型犬であっても、あごの力で考えれば、砕かなくても歯で割って食べることができます。ただ、日本の超小型犬はすごく体格の小さな子がいますので、その小さな口のワンちゃんたちに、外国製の大きめのフードを与えた場合には、少し食べにくそうに見える場合がありそうですね。
ドライフードを砕く方法は?
方法として、ビニール袋に入れたドライフードを金づちのようなものでたたいて砕く、もしくはミルミキサーのようなものに入れてガラガラと粉砕するのも楽な方法でしょう。
■たたいて粉砕する場合
食事前に大きな音を立てながら砕くことに対して、逆にワンちゃんは慣れない音に緊張してしまうかもしれませんので、気を付けるべきと思います。
■ミキサーを使用する場合
ドライフードはもともと粉を固めたようなもので、油分を多く含んでいます。歯の部分などに微細な粉が残りやすいので、粉砕した後はマメに歯磨きしなければいけません。
砕くと熱にも弱く傷みやすくなるため要注意!
ドライフードを粉砕する目的は、ワンちゃんが食べやすいようにしてあげたいという飼い主様の親心なのかもしれませんが、粒を細かくすればするほど、破片の表面積の割合は大きくなります。
内部で守られていた原材料や栄養素が砕かれることによって表に出てくることになりますので、空気に触れて酸化しやすくなります。
酸化と言えば、油を思い出す方が多いと思いますが、ビタミンなどにも種類により酸化しやすいものがありますので、フードを普段から砕いて与えていらっしゃる方は、1回ごとに砕いたものを完食させるようにしましょう。
砕いたフードは本当に食べやすい?
犬は肉を引き裂くのに都合がいい口を持っており、
引き裂いた肉を唾液とともに胃の中へ流し込む食べ方をします。
生肉ではなくドライフードを与えた場合でも、適当な量のフードを口に入れたかと思うと、あまり噛まずに飲み込んでしまい、 その時にはもう次のドッグフードを口の中へ入れようとしています。このような食べ方は、小型犬であっても大型犬であっても基本的に変わりません。
ただし、砕いたドライフードがワンちゃんにとって食べやすいかどうかはわかりません。丸い形のものは飲み込みやすく、砕いてガタガタの形になったものは飲み込みにくいことは当然ですし、水分を適当に含んだものは飲み込みやすく、乾いたものは飲み込みにくいことも当然です。
ワンちゃんが食べる時に出る唾液は、本来口から胃へ食べ物を流し込むための水分にもなりますが、その唾液を吸い取ってしまうような乾いた食べ物は飲み込みにくい可能性もございます。
噛む力がつかなくなる心配は不要
最近では、ドライフードをふやかして与えていらっしゃる飼い主の方が増えているようですが、ドライフードを砕く方の中にも、そのような考え方の人はいらっしゃると思います。
そこで心配なのが、毎日の食事であまり噛まなくなるため、あごの筋肉の発達が促されずものを噛む力がつかないのではないかということです。
この件については、ドライフードを砕かずとも、カリカリを噛んで食べることであごの噛む力がつくわけではありませんので心配は全くいりません。(例えば手作り系の食事を与えれば、犬は「ペロ、ゴクン!」という風にほとんど噛まずに食べます。生肉を与えれば「パクッ、ゴクン!」とこちらも噛まずに食べます。
今では小さなころから手作り食や生食で育てていらっしゃる飼い主様も多くいらっしゃいますが、そのような犬たちが、すべて噛む力が弱いわけではありません。
砕いたドライフードは歯石が付きやすい!
歯の健康は、ワンちゃんの体全体の健康維持につながりますので、気を付けていらっしゃる人は多いはずですね。歯の健康を考えて、ワンちゃんの食事にはドライフードを選んでいるという飼い主様も多いと思います。
その理由は、ドライフード(カリカリ)を食べさせた方が歯は汚れませんよと業者などからアドバイスを受けたことがあるからなのでしょうが・・・
はたして、その通りでしょうか?
まずドライフードは粒がどれも均一にできています。
■ 原材料を均一に混ぜるためには、粉末にしなければなりません。
■ 商品にもよりますが、多くのドライフード=粉を熱で固め乾燥させたような食べ物といってもよいのかもしれません。
ドライフードを砕いて与えなくとも、口の中で犬がドライフードを噛んで割った時には、同様に小さなカスが口の中に飛び散っているのです。
動物病院などで販売されている歯石予防のための療法食の案内には、一般のドライフードを与えた場合と療法食を与えた場合の歯の汚れの大きな違いが紹介されています。つまり、ドライフードは歯石が付きやすいという認識を飼い主さんは持っておかれた方が良いのです。
ドライフードを砕くことについては、食べ物の形がわかるだけですので、ドライフード自体が傷んでしまわなければ問題のない行為です。それよりも、ドライフードは乾燥し、粉末を固めたような食べ物であるという点なども常に頭におきながら、歯や体全体のケアをしてあげましょう。
筆者:イノヨシ