季節の移ろいとともに様々な表情をみせてくれる夜空の星々。88個の星座のなかにも、ワンちゃんや猫ちゃんは存在しているのでしょうか?
今回は、犬と猫にまつわる星座についてご紹介していきたいと思います。
冬の星座の主役!”おおいぬ座”
冬の星座で最も有名な星座が”おおいぬ座”なのではないでしょうか。
鼻先にあたる一等星の『シリウス』は、太陽をのぞいて地球から見えるもっとも明るい恒星(自ら輝く天体)として知られています。
シリウスには”焼き焦がすもの”という意味があり、冬の夜空にキレイに見えるぶん、夏には昼間に上がることから、夏が暑いのはこのシリウスの輝きによるものだと考えられていました。
おおいぬ座は狩人のオリオンが飼っていた猟犬といわれています。オリオン座の足元で、うさぎ座を追いかけているんですね。
冬の大三角を構成する”こいぬ座”
おおいぬ座の『シリウス』、オリオン座の『ベテルギウス』、そしてその左にある“こいぬ座”の『プロキオン』。この3つの一等星を結ぶ三角形が”冬の大三角”と呼ばれています。
冬の澄んだ夜空にひときわ強く輝く三角形は、初心者でも見つけやすく、冬の星座を探すうえで目印になりますよ。
オリオン座の東側には、無数の小さな恒星が帯状に輝く天の川も観測することができるのです。
2つの星を直線で結んだだけの小さなこいぬ座は、「さすがに犬に見立てるのは無理があるのでは…」と時折話題になる星座のひとつでもあります。
おおいぬ座のシリウスが冬の訪れをひとびとに知らせる重要な恒星であり、そのシリウスより早くのぼってくるプロキオンを持つ星座がおおいぬ座と比較して「こいぬ」と名付けられたのです。
こいぬ座もまた、オリオンの飼い犬であるといわれています。
猫の星座はある?
星座の中でもとくに有名なおおいぬ座とこいぬ座をはじめ、リードにつながれた2匹の猟犬をかたどった”りょうけん座”など、ワンちゃんにまつわる星座は数多く存在しています。
しかし残念ながら、現在使われている88星座のなかにねこ座はありません。猫ちゃんにもっとも近い星座が、オオヤマネコ、もしくは虎をモチーフにしたとされる”やまねこ座”です。
17世紀に天文学者ヘベリウスによってつくられた新しい星座のため、関連した神話はありません。暗く目立たない星座であることから、ヘベリウス自身が「ヤマネコのように鋭い目を持つものにしかこの星座を見つけることはできない」と語ったとされています。
冬から春にかけて観測できる星座なので、視力に自信のある方はぜひ探してみてくださいね。
消えてしまった”ねこ座”
ハエ座や髪の毛座、けんびきょう座などマイナーなモチーフが星座になるなかで、「ねこ座がないなんておかしい」と不満に思う愛猫家さんも少なくないはず。18世紀の天文学者、ラランドもそのひとりでした。
ラランドは猫を愛するあまり、自分の愛猫をモチーフにした”ねこ座”をつくってしまったのです。ねこ座が登場する星図や天球儀も数点存在していますが、あまりにも私的すぎる理由でつくられた星座はあまり世間から受け入れられず、早々に淘汰されてしまいました。
ねこ座が消えてしまったことは残念ではありますが、永遠の輝きを放つ星座で愛情を表現しようとするなんて、これ以上ないほどロマンチックですよね。
四季折々の夜空を楽しんで
星座や神話に絡めて見てみると、夜空は新しい表情を見せてくれます。天気のいい日はぜひ天体観測してみてくださいね。