今回は私の好きな動物「シカ」についてお話ししたいと思います。というのも、私は数年前からよく奈良公園に赴き、シカたちとふれあっているのですが、先日こんな噂を耳にしました。
「エサ不足で最近シカが痩せている!」
このコロナ禍で観光客が減り、有名なエサである「シカせんべい」を貰えないため、激ヤセしているというのです。
実際に奈良公園へ
真相を確かめるべく、わたしは久しぶりに(前回訪れたのはコロナが流行る前)奈良公園へと向かいました。
すると、そこにはいつもどおりの体型のシカたちの姿が。特段、痩せたようすもありません。観光客はコロナ前に比べると確かに少なくなってはいましたが、シカたちは普段と変わらない様子です。
一体なぜそんな噂が・・・と思い調べると、奈良公園の管理担当者の方は、この噂に関してはきっぱりと否定しておられました。
「シカはもう1000年以上前からいますので、多少観光客が減った程度でどうということはありません」とのこと。
逆にシカを苦しめているという例も
▲コロナ禍前の2019年に撮影した奈良公園の鹿
▲2021年に撮影した鹿
つまり、コロナの影響でシカたちが痩せているという噂は全くのガセネタだったということです。
むしろ、この「シカが痩せている!」という噂を聞きつけた人々が、シカせんべい以外のエサ(食パンや弁当の残り等)を善意で与えて、逆にシカを苦しめているという状況だと、担当者の方は警鐘を鳴らしておられました。
なんでも、誤って食品のパッケージ等を飲み込んだものが胃に蓄積し、栄養失調で亡くなるシカも一定数いるのだとか。
シカは芝やシカせんべいを食べるだけでじゅうぶんに長生きできるのに、人間の身勝手な行動のせいでそんな悲しいことが起こっているなんて、とても残念に思います。
奈良のシカには、春日大社に祀られている武甕槌命(タケミカヅチ)が、常陸国(現在の茨城県の辺り)の鹿島神宮から白い神鹿に乗って飛んでやってきたという伝説があるため、現在でも「神の使い」と信じられ、大切に保護されています。
そんな神聖なシカたちと私たち人間がこれからもずっと共生していけることを願います。私はこの件で、噂を安易に信じず、自分の目で見て調べて、物事を判断することの大切さも学びました。
コロナの流行が落ち着いたらぜひ、奈良公園に可愛いシカたちを見に行って、ふれあってみてください。