初めて野生の猫を飼いならしたのはエジプト神話だった?

皆さんは神話が好きですか?

ギリシャ神話やエジプト神話、北欧神話に日本神話。世界中の様々な地域で多種多様な神話が語られ、有名なものは私たちの生活の中でも耳にすることがありますね。

筆者は神話が大好きです。なので今回は猫ちゃんやワンちゃんにも関わりが深いエジプト神話についてお話したいと思います。



エジプト神話の猫と女神の存在

寝ている猫

猫好きの方はご存知かもしれませんが、猫といえばエジプト!
というほど深い関わりを持っています。

猫は3000年以上にわたって人々の暮らしの身近にあり、大切にされていました。そして初めて野生の猫を飼いならしたのもエジプト人だと言われています。

猫の頭を持った女神バステトは、エジプト神話の中でもかなり有名な存在ですね。第二王朝時代、紀元前2890年頃に崇拝されたバステトはもとはライオンの姿をしており、その役割は同じくライオンの頭部を持つ強力な女神、セクメトと同じものでした。

そこからバステトとセクメトは「同じ女神の二つの側面」としてとらえられるようになり、ライオンの姿をしたセクメトは死や戦いを司る強き者、そしてバステトは王や太陽神の守護者、また音楽や享楽の神であり家庭の守護者としての母性をも併せ持つ神として、優しい雌猫の姿になったのです。

こういったイメージは初代王朝で猫が毒蛇からファラオを守ったとされる逸話からきているのかもしれません。




エジプト神話の犬とアヌビス神

エジプト壁画
▲画面中央の黒い犬の頭をした神がアヌビス

ではエジプト神話に登場する犬はどうでしょうか。
アヌビスという神の名前を聞いたことがありませんか?

ピンと立った尖った耳に細い鼻先の黒い犬のような頭を持つアヌビスは死者の魂を導き、裁く存在です。このモデルになったのはジャッカルというイヌ科の動物だと考えられています。

当時の人々が墓場を徘徊していたジャッカルを見て死者を見守っていると考え、そこから死者を導くアヌビスのイメージが形成されたのでしょう。アヌビスはミイラづくりの神でもあり、その真っ黒な姿はミイラを作る際に防腐目的で用いるタールによるものだと考えられています。

古代エジプトで犬も猫のようにペットとして可愛がられていたかというと、どうやらそうではなかったようです。しかしながら犬とのかかわり方は実に多様で、警備や軍事、また狩猟にも携わったことがわかっています。何千年も前の世界でも、犬は人間と仕事をし、猫は愛玩動物として人間を癒していたと思うとなんだか不思議で面白いですね。



現代に生きる古代エジプトの猫と犬

ヒョウ柄の猫
▲エジプシャンマウの額の模様は古代エジプト人にとって神聖なものでした

古代エジプトにおいて猫も犬も人間と共に生活していたことは壁画に描かれた姿からもわかっています。では古代の人々が愛した猫、犬は今も存在するのでしょうか?

壁画に描かれた特徴をもとにエジプトで発見された猫を改良、繁殖させ確立されたのがエジプシャンマウという猫です。

グレーの体に美しい斑点模様を持ち、どこか神秘的な雰囲気を醸しています。古代エジプトではスカラベという昆虫が聖なる虫として崇拝されていましたが、エジプシャンマウの額の模様がスカラベのマークに似ていることが神聖視される理由だと考えられます。くっきりとした瞳もエキゾチックな魅力を秘めていますね。



古代犬チズム(Tesem)を祖先に持つ犬たち

ジャーマンシェパード
▲古代エジプトの美しい犬、チズムを祖先に持つとされるグレイハウンド

古代エジプトの壁画に描かれた犬にTesem(チズム)という犬がいます。細く引き締まった体にまっすぐ通った鼻筋は美しく高貴さを感じさせます。そんなチズムの別名はAncient Greyhound、太古のグレイハウンド。

その名からわかる通り、グレイハウンドがこのチズムの血を引いています。有名な犬種ではイングリッシュグレイハウンドやバセンジーなどが挙げられます。グレイハウンドの引き締まった美しい体や見るものを圧倒する走りのルーツが太古のエジプトにあったのです。


世界の神話や伝説は他にも多く存在します。

皆さんが一緒に暮らしているワンちゃんや猫ちゃんたちも意外なところにルーツがあったりするかもしれません。
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