心震える、犬が活躍するおすすめ小説3選



私たち人間にとって最も古くからの友であるワンちゃん。長い歴史の中で紡がれた絆は、時に感動的に、ときに面白おかしくさまざまな作品で描かれてきました。

そこで今回は、ワンちゃんを主題にしたおすすめの小説をピックアップ!読書家の飼い主さんもそうでない飼い主さんも、この機会にぜひ本の世界に浸ってみてくださいね。

目次
■ワンちゃん×SF超大作!手に汗握る展開が見逃せない『ウォッチャーズ』
■ペットロスを小さなときめきで描く『デューク』
■一匹の犬が寄り添った群像劇『少年と犬』
■犬と人とのつながりを見つめなおすきっかけに



ワンちゃん×SF超大作!手に汗握る展開が見逃せない『ウォッチャーズ』



モンスターパニックもののSFホラーでありながら、普段そういったジャンルを読まない方にもぜひおすすめしたい一冊です。完ぺきに言葉を理解する天才ゴールデンレトリーバーのアインシュタインと主人公たちとの掛け合いがとてもかわいらしく、孤独を分け合うような絆はまさに人と人間のかかわりあいの本質だなと思わされます。

そして読後にもっとも強烈な印象を残すのが敵役のアウトサイダーの存在です。愛される犬を横目に見ながら、愛を求めて与えられなかった犬が抱く憎しみ、ただひとつの小さな思い出をいつまでも忘れられない哀れさ……何度読んでも同じところで胸が締め付けられて涙してしまいます。

発売から30年以上愛される不朽の名作ですが、じつは2021年、本作の続編にあたる『ミステリアム』が刊行されました。こちらも『ウォッチャーズ』とおなじく作者の犬愛があふれており、ワンちゃん好きは必読ですよ。



ペットロスを小さなときめきで描く『デューク』



江國香織さんの短編集『つめたいよるに』は、読みやすい短文で心をあたためてくれる作品ばかりで、慣れていない方の読書や寝る前のリラックスタイムにもおすすめできる一冊です。

『つめたいよるに』のなかでもひときわ人気の高い『デューク』は、愛犬を喪ったことで深い悲しみに浸る主人公のもとに不思議な青年が現れ、1日だけのデートをするという、切なくもあたたかいストーリーが展開されます。

ペットロスを経験した飼い主さんにとっては、「あの子もこうだったらよかったのにな」と思わずにはいられず、作中の青年があの日傷ついた読者の心をも癒してくれるような気がするのです。


一匹の犬が寄り添った人々をめぐる群像劇『少年と犬』



第163回直木賞を受賞した本作は、東日本大震災の影響が色濃く残る仙台からはじまる、傷ついた人々と一匹の犬をめぐる群像劇です。さまざまな人生に寄り添いながら、迷い犬「多聞」は何を目指して走るのか……読み進めるほどに結末が気になってページをめくる手が止まりません。

セーフティーネットからこぼれおちてしまったような、絶望のさなかにいる登場人物たちも、やせこけた多聞に語り掛け、ドッグフードを買い与え、ともに生きたいと願います。

根本的な解決にはならないながらも、与えること救いにつながるという、人間が真に必要としているものを浮き彫りにした作品だと感じました。

ワンちゃんが大好きな人であれば、健気で聡明な多聞に心惹かれることでしょう。日本中を駆け巡ってただ一人を探し求める多聞。「そんなことできるはずない」とは言い切れないところが、ワンちゃんの不思議な魅力のひとつです。


犬と人とのつながりを見つめなおすきっかけに



気になる小説はありましたか?

どの作品も、ワンちゃんが私たちに何をもたらしてくれるのか、筆者の哲学を感じることができる名著ばかりです。読めばいっそう愛犬が愛おしくなることでしょう。

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