突然ですがワンちゃん達の平均寿命をご存知でしょうか?
体格にもよりますがおおよそ12~15歳で、人間齢に換算すると70~80歳に相当します。愛犬が自分の年齢を超えて老いていくなんてなんだか信じられませんよね。
ですがこの現実は様々な形で愛犬の体に現れてきます。その中でも【視力】や【聴力】の低下は発生頻度が高く、シニア期に入ったら目を配っておきたいポイントです。
もちろん若くても視力や聴力を失う事はありますが、今回は加齢に伴って症状が出てきたワンちゃんにフォーカスをあて、飼い主さんがしてあげられる事や生活で意識しておきたい事をご紹介していきましょう!
見えてない時のサイン
人間同様、加齢と共に視力が低下することは自然な事です。
・段差でつまずく
・曲がり角でぶつかる
・入念に匂いを嗅ぐようになった
・飼い主さんから離れたがらない
・追視をしない
などが視力の落ちている時のサイン。
ただ、ワンちゃん達は嗅覚を始め様々な感覚機能に優れているので見えていなくても普段通り生活できることも珍しくありません。特に慣れている自宅内では異変を感じにくいかもしれませんね。
実際、定期検診や予防接種の時に初めて目が見えていないことが発覚するワンちゃんも少なくないんです。シニア期に入ったら日頃の動き方をよく観察してあげましょう。
聞こえていない時のサイン
聴力が低下している時のサインは
・呼んでも反応しない
・今まで反応していた音に無関心(チャイムやサイレンなど)
・触られると驚く、咬みつく
などが代表的です。
音に敏感で眠りが浅かった子が熟睡するようになった、なんてケースもあります。
生活環境を見直そう
視力と聴力、そのどちらも失ってしまったら…?暗闇と静寂の中で不安なのではないかと心配になりますよね。
ですが私が動物病院でお会いするワンちゃん達は本当に聞こえていないの?見えていないの?と思うほど生き生きとしているんです。
確かに歩行時はぶつからないようサポートしてあげなくてはいけませんが、言い換えればそういったサポートをすれば問題なく生活できるということ。
彼らには触覚や嗅覚といった優れた感覚機能、そして驚くほどの適応力があります。外の香り、季節ごとの温度、風、飼い主さんの匂い、ぬくもり、そういったものを今まで以上に敏感に感じ取り、新たな楽しみを見つけて過ごせるようになります。
飼い主さんにしてあげられることは愛犬が快適に過ごすことができるよう生活環境を見直すこと。自宅内の段差をなくし、滑りにくいフロアマットを導入、食事は食べやすい高さのスタンドを用意してあげると、愛犬にかかる負担も少なくなります。
動きやすい動線を確保することが重要ですが、大きな模様替えはかえって混乱を招くこともありますので慎重に行いましょう。
またワンちゃんのヒゲにはセンサーのような役割があります。今までトリミングでヒゲカットをしていた子は、ヒゲを残してもらうようトリマーさんに伝えておくといいかもしれませんね。
愛犬との接し方
見えない、聞こえない状態でいきなり抱き上げられたり触られたりするのは、愛犬に恐怖心を与えてしまいます。中には怖いあまり、飼い主さんに咬みついてしまう子もいるほど。まずはゆっくりとした動作で接することを意識してみましょう。
聞こえていなくても、声をかけてからゆっくりと近づきます。鼻先に手を出して飼い主さんの匂いを感じてもらい、体の側面を優しく触ってから抱き上げましょう。
ルーティンが定着してくればこの後は抱っこだ!と愛犬が覚えてくれるのでスムーズに抱き上げられるようになります。
今までできていたことができなくなり、愛犬もストレスを感じているかもしれません。焦らず少しずつ飼い主さんもワンちゃんも慣れていけるとよいですね。
病気の可能性も?病院は必ず行きましょう
『加齢のせい』と思っていても、実は病気が隠れていることもあります。例えば白内障や緑内障、重度の外耳炎や脳の病気など。シニア期特有の疾患だと病気のせいで視力や聴力が落ちているのか、加齢のせいなのか判断が付きにくいことも。
本人が元気でも異変に気が付いた時は病院を受診し、獣医師に治療が必要かどうか判断してもらいましょう。
ワンちゃんが飼い主さんより早く年齢を重ねていくことは避けようがありません。寂しく感じるかもしれませんが、その時その時の愛犬に寄り添い、一緒に歩んでいけたらいいですね。