ワンちゃんもコンタクトをする?角膜潰瘍の治療方法とは



ワンちゃん達は人間に比べ目の作りが粗く、目のトラブルが起きやすい動物です。目の痛みで食欲や元気まで落ちてしまう子も珍しくありません。

特に注意してあげたいのが【角膜潰瘍】という病気。

一度発症してしまうと治療が長引いてしまったり、大掛かりな治療が必要になることもあるんです。では角膜潰瘍とはどのような病気で、どういった治療方法があるのでしょうか?

今回は底を掘り下げてご紹介していきましょう!

目次
■角膜潰瘍ってどんな病気?
■角膜潰瘍になる原因とは?
■角膜潰瘍の症状
■角膜潰瘍の治療方法
■目に違和感を感じたときはすぐに病院へ



角膜潰瘍ってどんな病気?



ワンちゃんの眼球表面には「角膜」と呼ばれる部分があります。角膜は複数の層から成り、上から順に 表在性角膜、実質性角膜、デスメ膜 に分かれています。

角膜潰瘍とは、この角膜に何らかの原因で傷がついた状態のことを指します。デスメ膜まで貫通している場合は角膜穿孔(かくまくせんこう)と呼ばれ、強い痛みを感じ生活に大きな支障が出るワンちゃんも少なくありません。



角膜潰瘍になる原因とは?



角膜潰瘍を起こす原因は以下のようにさまざまです。

●外傷
・家具やドリンクボトルに顔をぶつけてしまった
・他のワンちゃんと喧嘩をした

●自分でこすってしまう
・もともと結膜炎や皮膚炎があり気にしてこすっている
・床に顔をすりつけている

●まつ毛や異物が入った
・逆さまつげや長い被毛、異物が目に入っている
・シャンプー液が目に入ってしまった

この他にも、ドライアイ体質のワンちゃんは角膜がとても傷つきやすい状態にあり、まばたきだけでも傷ついてしまいます。

自分で気にしてしまう時はエリザベスカラーを装着、シャンプー時はしっかり目を洗い流すことが予防対策となります。なお、異物が入ってしまったときは無理に取ると余計傷がついてしまう可能性がため、動物病院で診てもらうことをおすすめします。



角膜潰瘍の症状



以下のような症状が見られたときは角膜潰瘍かもしれません。早めに受診しましょう。

●充血
●流涙
●目ヤニ
●羞明(しゅうめい)
※光をまぶしく感じる
●食欲元気の低下
●瞳孔の大きさが左右で違う

白目が赤く見えたり、涙や目ヤニが多い時は要注意!さらに、目を開けられずシパシパしている羞明と呼ばれる症状や、瞳孔の大きさが左右非対称という時は痛みを感じているサインかもしれません。

様子を見ている間にも悪化してしまうので、気が付いた時はすぐに動物病院へ連れて行ってあげてくださいね。


角膜潰瘍の治療方法



角膜潰瘍が疑われるときは、まずスリットランプ検査を行い傷の深さを確認。その後、以下のような治療を行います。



■点眼治療
初期治療は点眼が選択されることが多いでしょう。涙量の不足を補う点眼や、抗菌剤、消炎作用がある点眼薬を使用し、頻回で点眼してあげます。

あまり反応が良くない時は、ワンちゃん自身の血液を使った自己血清点眼を処方する病院もあります。


■内服治療
細菌感染を起こしていたり、点眼だけでは痛みが取り除けないようであれば、内服薬を併用します。
どの抗生剤が効くのか細菌培養の検査を行い、より効果の高い抗生剤が処方されます。


■コンタクトレンズの装着
角膜を保護するためにワンちゃん用のコンタクトレンズを装着することも。人間のような視力矯正機能はありません。


■外科治療
角膜の傷が深く、点眼や内服でカバーできない場合は外科的な治療を行います。まばたきしただけでも角膜には大きな負担になってしまうため、一時的にまぶたを閉じたまま縫合し保護する、あえて角膜に傷をつけ再生治癒させる、角膜にあいた穴自体を縫合する、などの手術があります。

ただし眼科専門医や専用機器がないと行えないケースもあるので、場合によってはセカンドオピニオンの受診が必要となるでしょう。



目に違和感があるときはすぐに病院へ



結膜炎や角膜炎と聞くと軽く考えてしまいがちですが、重度の角膜潰瘍のワンちゃん達は胸が痛くなるほどつらそうにしています。あっという間に進行してしまうので違和感があるときは早い段階で受診し治療を開始しましょう。

私の勤務している病院では、度々コンタクト装着を行っていますが、意外にも大人しく付けてくれる子がほとんどです。人間用に比べると少し大きめで柔らかいのが特徴で数分で終わります。治療に時間がかかる子も多いのですが、諦めずしっかりと治療していきましょう。

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