最近になって耳にする機会が増えた重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気。誰もが感染の可能性がありますが、マダニが媒体となるためペットを飼っている方は一層注意しなくてはなりません。2013年に日本で初めて確認されて以降ジワジワと感染が拡大し続けています。
これまでは九州から東海地方で見られていましたが、今年は関東圏に北上しており、茨城での感染が確認されています。ではSFTSからどのように愛するペットと我が身を守ればいいのでしょうか?今回は感染経路や予防の方法をご紹介していきます。
SFTSとは
重症熱性血小板減少症候群はマダニが媒介する人畜共通の感染症です。
感染経路は
・SFTSウイルスを保有したマダニに噛まれる
・感染した動物(人)の体液や血液と接触する(噛まれることも含む)
この2つが主になります。
マダニに噛まれてすぐに感染するのではなく数時間~1日程度の吸血時間があった場合にウイルスが伝播すると言われています。
ペットから人、人から人への感染も確認されており、2025年は6月までで既に91名もの感染者とうち9名の死亡が報告。今までで最もハイペースで拡大しています。致死率は最大30%ほど。若齢でも感染しますが感染者の90%が50代以上であり、死亡報告にも年齢の偏りがあることから高齢者ほど重症化しやすいと考えられます。
三重県では、マダニがついた猫の診療にあたった獣医師の死亡例があり、動物医療業界でも感染対策が始まっています。
症状
SFTSの潜伏期間は人畜共通して6日~2週間。症状は発熱、食欲元気の低下、嘔吐や下痢などの消化器症状です。また、人はこれに加え、皮下出血や神経症状、動物は黄疸が出ることがあります。
マダニが潜伏している場所に行った後、ペットにマダニがついていた数日後などに症状が出始めるようであれば、医師、獣医師に対応を相談してください。
予防
残念ながらSFTSに特化したワクチンなどはありません。人も動物もできる限りの対策をしながら感染を予防していきましょう。
■人の予防対策
・マダニの生息地に軽装で行かない(長そで、長ズボンを着用し、肌の露出をしない)
・マダニに効果のある虫よけを使用する
・ペットを外飼いしない
・外猫などと過度な接触をしない
■ペットの予防対策
・マダニ予防を行う
・こまめなブラッシングをする
・マダニの生息地へ連れて行かない
ペットのマダニ予防は必須ですが、予防薬といわれているものも実際は駆虫薬になります。マダニがペットを吸血すると、薬の効果でマダニは死滅しますが、それまでに1日~2日ほどのタイムラグがある製剤も多く、感染が成立してしまうのが先か、駆虫薬の効果が先に出るかは明確になっていません。
まずはマダニが生息していそうな場所を避けることが重要です。また餌付けしていた外猫に噛まれて感染、死亡した例も報告されているため、生活ベースが外である動物とは過度な接触をしないことも大切です。
もしもマダニがついてしまったら
もしマダニが付いていることに気が付いた時は、無理に取ってはいけません。マダニは吸血する際口の部分をセメントのような物質で固着させているので、無理に引っ張るとそこだけが残ってしまい炎症や感染を引き起こす可能性があります。人間は皮膚科へ、ペットは動物病院で除去してもらいましょう。
マダニの確認後は、潜伏期間が過ぎるまで体調の変化に目を配り、異変があったときは速やかに医療機関へ受診しましょう。
病気を知っていることが大切です
いかがでしたか?
これまでは噛まれることで感染するというイメージがありましたが、実際は血液や体液への接触だけでも感染した例が出てきており、警戒レベルがグッと引きあがった印象があります。
必要以上に怖がることはありません。しかし、こういった病気があることや予防対策の重要さは頭に置いていただきたいです。
まだまだマダニが活発な時期。お出かけやお散歩、さまざまなシーンでしっかり注意してあらかじめ予防していきましょう。