愛犬といざ海外へ!必要な手続きや準備期間について解説します



動物病院に勤務して17年経ちますが、年に1~2回ほど飼い主さんから海外へのお引越しや旅行についてご相談を受けることがあります。

愛犬と海を渡るというのは複雑な手続きをいくつも踏まなくてはならず、準備するものも多いので入念なタイムスケジュールを作って挑む必要があります。

ではどれくらい前から、どのような手順で準備を進めていけばいいのでしょうか?今回はワンちゃんの出国についてまとめてみました!

目次
■愛犬を海外へ連れて行くことはできる?
■必要な手続きは各国によって違います
■準備期間はどれくらい確保する?
■何をどこに頼めばいいの?
■慌てないよう入念な準備を





愛犬を海外へ連れて行くことはできる?



愛犬を海外へ連れて行くことはもちろん可能です。ただし複雑な手続きと移動の負担を考えると、短期旅行時はお留守番の方がいいかもしれません。

旅客機内では原則ワンちゃんは客室ではなく専用貨物室に入ります。空調はコントロールされているものの、騒音もありストレスは避けられません。また日本は世界で数国しかない狂犬病撲滅国。出入国する際は厳重な検疫を受ける必要があります。


必要な手続きは各国によって違います



海外渡航の手続きは入国する国によって異なります。比較的簡易化されている国と、とても厳しい国と様さまざま。これは入国する国の大使館か動物検疫機関で確認してみましょう。

以下は必要な手続きの一例です。

【出国時に必要となる手続き一例】

・マイクロチップの装着及び登録
・相手国指定の混合ワクチンの接種
・複数回の狂犬病ワクチンの接種
・狂犬病抗体価の検査
・レプトスピラなどの感染症検査
・動物検疫所への連絡
・輸出検疫証明書の取得
・外部寄生虫の駆除、予防
・内部寄生虫の駆除、予防
・動物病院で健康証明書の取得



準備期間はどれくらい確保する?



出国予定が経ったら、できるだけ早くリサーチを始めましょう。遅くても4ヵ月前にはスケジュールを立てておきたいところ。

例えば狂犬病ワクチンは1回目の接種から30日あけて2回目を接種し、さらに数日空けて採血を行い抗体価検査をします。抗体価検査は外部の検査センターでの受注となるため、結果が戻るまで約1週間。

これに加え混合ワクチンの接種も必要となりますが、狂犬病ワクチンと同時接種ができないため数週間開ける必要があるんです。この一連の流れだけでも1ヵ月以上の時間が必要なことがお分かりいただけるかと思います。

国によっては、『出国〇日前に△△の予防を行い証明書を持参する』など細かく決まっているケースもあるので、事前の確認と動物病院との連携は必須となるでしょう。



何をどこに頼めばいいの?



何をどこに頼めばいいかパニックになってしまう方も多いのですが、基本的に予防や検査、書類の発行は全て動物病院で依頼可能です。

ただし注意したいのは、何がいつまでに必要で、どのような書式で出すのかは飼い主さんご自身で把握、用意しなくてはいけない点。

提出書類は各国で異なるため、動物病院では把握しておらず、フォーマットもありません事前に書類を用意し、動物病院へ持参して記入を依頼してください。

なかには英文で記入が必要な場合もあり、数日かかることも考慮しておきましょう。動物検疫所のホームページに健康診断書のサンプルがありますのでこういったものを活用してくださいね。



また最近では、ペットの出国手続きを代行してくれる業者も出てきました。スケジュールの組み立てや飼い主さんと動物病院の間に入ってやり取りを行い、必要な書類を全て揃えてもらうことができます。

ただでさえ慌ただしくなる出国間際。手続きが複雑な国へ行かれる方は業者に入ってもらうのもいいかもしれませんね。



慌てないよう入念な準備を



ちょうど最近、手続きが複雑で検疫が厳重な国へ出国される飼い主さんとワンちゃんを見送りました。

その方は業者を利用されており、病院スタッフと業者でスケジュールや必要な処置の確認を行い万全の態勢でしたが、不測の事態も多く最後はなんだかバタバタ!ワンちゃんが体調不良でスケジュールが崩れてしまう事も珍しくありません。

必要な書類、手続きの日時、愛犬の様子、目配る所が多く大変ですが時間に余裕を持ち、スケジュールを確認しながら進めてくださいね。

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